「公務員のくせにそんなことも知らないの⁉」
「税金払ってるのにそんなこともしてくれないの⁉」
市役所などの地方公務員のなかでも、市民課・税務課・福祉関係・事業系などの地元住民と接することが多い部署では、住民対応に苦労することが多いもの。
怒鳴られたり、話しが長かったり、それが連日となると精神的にとてもきつくなりますよね。
そんな方でも、どこまで対応していいのかという『ボーダーライン』や対応の方法を知っておくと、本当にラクになれます。
クレームへの対応方法を知りたい方や、公務員になったばかりの後輩にも持たせてあげるべき本を2冊ご紹介します。
公務員の本なんてどうせ読みづらそう
公務員の本というと、いちいち難しく書いているものが多いですが、この2冊はイラストが多く使われており、法律の説明よりも具体的な事例をもとにしていて、実践しやすい内容となっています。
どちらも1時間程度で読み終わるくらいの、とても読みやすい本です。
ですので、職場の机の引き出しの中に入れておいて、たまに読んでおくといいでしょう。
今回はこの2冊から役立つことを3つご紹介します。
相手側による録音・公開は常識
今の時代、ほとんどの人がスマホを持っており、情報を発信できるので、相手からいつ記録・公開されてもおかしくありません。
大事なことは、それを見た人や聞いた人が「異常なクレーマーvs冷静に対応する役所」とうい構図でとらえてくれるように対応すること。
次にご紹介する3つのNG行動をせずに堂々と対応すれば、役所に同情が集まるだけです。
録音対策3つのNG
とはいっても、実際にどういう対応をすれば録音されても困らないのか。
ここで3つのNG行動をご紹介します。
口調をエスカレートさせない
相手の挑発にのってこちらも口調をエスカレートさせてしまうと、その部分だけ切り取って利用されかねません。
例えば、「うるさい!」「お前の態度も悪いだろ!」などと言ってしまったら、そこだけを切りとり、周りの住民や自治会長、さらには首長や議員にまで広められてしまうことも。
NGワードを発しない
差別用語や不快言葉など、本質と離れたところで揚げ足をとられかねない言葉遣いは格好のネタになります。
そういった言葉は職場の倫理研修でも教わっていると思いますので、普段から使うことはやめましょう。
たとえ話をしない
分かりやすく説明するために、たとえ話をする人もいると思います。
そういった説明をしていると、言ってはいけないことを言ってしまったり、引用の仕方を間違えてしまったりすると揚げ足をとられかねません。
さらに話が長くなることで、話し相手になってくれると勘違いし頻繁にあなたのことろへ訪れてくることも…
相手がクレーマーかどうか最初は分からないこともありますので、住民対応は常に「録音されているかも?」と用心するクセをつけて正しい対応をすることです。
録音・撮影をやめさせることもできる
役所には個人情報やプライバシーなどのデリケートな情報がたくさんあります。
勝手な撮影を許してしまっては、住民も安心して相談にくることができません。
多くの自治体では『庁舎管理規則』により庁内での録音・撮影は管理者(管財を所管する部長など)の許可を要すると規定しています。
こうした規定を根拠に動画の撮影をやめさせることができるのです。
それでも録音・録画を続ける場合は、庁舎からの退去を求めたり、警察に通報するなどして、組織として毅然と対応しましょう。
傾聴もバランスが大切
『傾聴』という言葉は最近よく聞くのではないでしょうか。
傾聴とは、相手の話を遮ったり反論したりせずに、じっくり耳を傾けることです。
傾聴により相手は安心感を持って話すことができるので、相手と仲良くなれたり、より多くの情報が聞けます。
ですので仕事相手や職場の人間関係では、傾聴はとても大事ということが分かります。
では、住民対応で傾聴は使えるのでしょうか。
本当に困っている人に対して傾聴することで、相手も気分が落ち着き、対策を考えることができるかもしれません。
しかし相手がクレーマーになると、じっくり話を聞くことで、長い時間を費やしたあげくクレームがエスカレートして、相手は主張が通ったと勘違いしてしまうこともあります。
そのため状況によっては、相手の話を遮ってでも、こちらの主張を相手に伝えなければいけません。
例えば次のような場合
- 同じ話を何度も繰り返す
- 受け入れられない要求をする
- 対応者の業務とは関係ない話が続く
行政はバランスが大事。
住民対応は大切なものですが、業務効率も考えるべきこと。
30分・1時間と時間の経過と話の内容のバランスを見ながら、状況によっては相手の話を遮ってでもこちらの主張を伝えるなどの毅然とした対応をとることも必要です。
傾聴するときの心構え
本当に困っている人や役所に不満をぶつけてくる人でも、傾聴することで不満の一部や全部が和らいだり解消したりすることはあります。
カウンセリングでは「そういうことがあったんですね」「そういう気持ちになったんですね」と相槌をうちながら、患者さんが話しやすいようにして、すべてを吐き出してもらうようにするそうです。
そんな傾聴をするときに重要なのが聞く姿勢です。
聞く姿勢とは「共感はしても同感はしない」こと。
同感とは、自分と相手の感情に一線を引かず相手と同じ体験をするように同じ感情をもつことです。
例えば「私も同じように思います(賛成)」「私だったら〇〇だと思います(否定)」。
これでは、気持ちが巻き込まれてしまい客観的な話ができず、相手の意見に流されやすくなります。
一方、共感は「あなたの気持ちは理解できます」とまず一旦うけとめ、客観性を保ったまま、説明や反論につなげることです。
このように傾聴の基本姿勢は、同感により賛成も否定もせずに、共感によって客観性を保ち、相手の話を聞き始めることを心がけましょう。
何について謝るのかを意識する
ものすごい勢いで怒鳴ってくる人ってたまにいますよね。
そんな人が相手だと反射的に「申し訳ありません」と言ってしまう人は多いと思います。
しかし、相手の主張の中には謝るべきじゃないことが含まれていることはよくあること。
すべてに対して謝っていると、悪くないことや反論しないといけないことまで非を認めたように誤解され、一層解決が難しくなることも…
そうならないために必要なのは、冷静でいることです。
相手が何に対して怒っているのかを冷静に見極めるようにする。
クレームというのは「説明の仕方が悪い」「職員の対応や態度が悪い」といった接遇への不満か役所や国の制度への不満に対するもの。
どちらに対するクレームなのかを意識して、
「説明が分かりにくく申し訳ありません。」
「間違った説明をしたことはお詫びいたします。」
の積み上げでいきましょう。
制度への不満は、「そう思われるんのですね」と受け流しましょう。
私たちにはどうすることもできませんから。
公務員なのにそんなことも知らないのかと言われたら
この記事の最初にも出てきましたが、これを言われることはたまにあると思います。
例えば、電話で「あの電気屋のとなりに新しく家を建てるところがあるだろ」
と細かい地域の情報を言われ、分からないでいると
「役所の人間がそんなことも知らんのか!」
と怒鳴られる。
「そんなこと知らないよ」と言い返してしまうと「なんだと⁉今から行くから待っとけよ!」
と面倒なことになりかねません。
そんなときは、言い訳などはせずに
「不勉強で申し訳ありません」
の一言です。
行政職員にとって、知識不足をつっこまれるのはつらいことですよね。
「管轄外だ!」「異動したばっかりだ!」と言い訳したくなる気持ちは分かります。
しかし、そんなことから大きな問題に発展しかねないので、知らない自分を認めることが事態を収拾させるいい方法です。
公務員のクレーム対応のまとめ
今回ご紹介したクレーム対応はおススメの本である『SOS!公務員のためのやっかいなクレーム対応』『業務の「ヒヤリ!」を解消する!公務員の法的トラブル予防&対応BOOK』にあるものです。
もちろん他のクレームへの方法や著作権違反、自動車事故といった普段の業務でやってしまっているけどダメなことの事例もありますので、1人1冊引き出しのなかにいれておくことをおススメします。
別の記事では、苦情をなくすために『役所にいる勘違い職員にならないために心がけること』をご紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
この記事がお役に立てれば幸いです。