土木公務員の転職先は?年収が上がった人と下がった人の違い

当ページのリンクには広告が含まれています。
doboku-koumuin-tenshoku

「このまま定年まで、ここにいるんだろうか」

土木職として自治体に20年いました。1級土木施工管理技士も、現職のまま取りました。その20年のあいだに、民間へ移っていく同僚を何人も見送っています。

そこで分かったことが1つあります。年収が上がった人と、下がった人がいました。そして戻りたいと言い出した人もいた。

分かれ目は、辞める前に何を持っていたかでした。この記事では、実際に多かった転職先・年収の変化・後悔した人の共通点を、送り出した側から見た範囲で書きます。

この記事で分かること
  • 土木職の公務員が実際に移っていく先の種類
  • 1級土木施工管理技士が転職でどう効くか
  • 「発注者側」から「受注者側」に回るときの落差
  • 残ったほうがいい人の条件
目次

結論|土木公務員は転職しやすいのか

結論|土木公務員は転職しやすいのか

事務職と比べて、土木職は民間が評価しやすい職種です。理由は単純で、やってきた仕事が民間にもそのまま存在するから。

土木職の経験は民間でそのまま通じる

公務員の転職でいちばん苦労するのは、自分の仕事を民間の言葉に言い換える作業です。「調整」「起案」「査定」と書いても、相手には伝わりません。

ところが土木職は事情が違います。設計書を読み、工事を監督し、積算をしてきたという経歴は、建設業界でそのまま通じるもの。言い換えの手間が、ほとんどかかりません。

じゃあ、辞めれば年収は上がるんですか?

筆者

そこは半分ですね。上がった人もいれば、下がった人もいた。

全員がうまくいったわけではない

「土木なら転職できる」は事実です。ただし「転職すれば良くなる」は事実ではありません。

この記事の後半で、後悔していた同僚の話も書きます。先に結論だけ言うと、失敗した人はほぼ全員、発注者と受注者の違いを軽く見ていました。

土木公務員の転職先|実際に多かった4つ

土木公務員の転職先|実際に多かった4つ

20年で見てきた行き先は、次の4つ。

建設コンサルタント

いちばん多い行き先です。役所が発注する調査・設計・計画を請け負う側で、公務員時代の相手方にあたります。

ここが移りやすい理由は明確で、発注者の考え方を知っている人材が欲しがられるから。何を求められる成果物なのか、どこで差し戻されるのかを分かっている人は、教える手間がかかりません。

技術士を持っていると、さらに評価が変わります。建設コンサルは技術士の人数が受注に直結する業界なので、資格そのものに値段がつくという構造。

ゼネコン・施工管理

現場で工事を動かす側です。1級土木施工管理技士がそのまま武器になるのは、この方向。

ただし生活は大きく変わります。現場が動いている間は、役所の勤務時間の感覚では通りません。単身赴任や転勤を前提にしている会社も多いので、家族の状況で選べるかどうかが変わってくるところ。

鉄道・電力・高速道路などのインフラ企業

公共性が高く、組織の動き方も役所に近いため、カルチャーの落差がいちばん小さい行き先です。

反面、募集が読めません。技術系の中途を定期的に出す会社もありますが、枠が小さく時期も限られるもの。狙って移れる先ではないという印象。

国・県・他市(公務員から公務員)

意外に多いのがこれです。民間が嫌なのではなく、いまの職場が嫌なだけという人は、ここで解決していました。

経験者採用の枠があり、土木職は募集が出やすい職種。給与の計算方法も似ているため、生活設計が崩れにくいのも利点。

4つのどこを選ぶかは「立場」で決まる

並べてみると、分かれ目は業種ではありません。発注する側に残るか、受注する側に回るかです。

転職先立場仕事の中身
他の官公庁発注側のままほぼ変わらない
インフラ企業発注側に近い進め方が似ている
建設コンサル受注側納期と採算が加わる
ゼネコン・施工管理受注側現場の時間で動く

役所の仕事そのものが嫌なわけではない人は、上の2つで足ります。技術を使い切りたい人は下の2つ。ここを取り違えると、業種は合っていても合わないという結果に。

この落差については、後悔した人の共通点の章でもう少し詳しく書きます。

土木公務員が転職して年収はどう変わるか

土木公務員が転職して年収はどう変わるか

僕が見てきた範囲での話として書きます。数字は本人から聞いた範囲なので、あくまで一例としてお読みください。

年収が上がった人の共通点

年収が上がった人の条件
  • 資格を持ってから動いた
  • 役所で担当した工種と、移った先の仕事が重なっていた
  • 30代〜40代前半で動いた

1つ目が効きます。資格は応募の前に持っているかどうかで評価が変わるもので、「入ってから取ります」では加点になりません。

年収が下がった人もいた

公務員の給与には、民間の求人票に出てこないものが乗っています。期末手当・勤勉手当で年4.7か月ぶん、それに地域手当や住居手当。

提示された月給だけを見て「上がった」と判断すると、年収ベースでは下がっていることがあります。賞与の実績月数まで確認しないまま決めた人が、あとで気づいていました。

比べるときは年収と退職金の両方で見てください。公務員の退職手当は勤続年数で伸びる設計なので、20年を超えたあたりから「辞める費用」が重くなる点にご注意。

1級土木施工管理技士資格は転職でどう効くか

1級土木施工管理技士資格は転職でどう効くか

僕は現職のときに1級を取りました。取ってみて分かったのは、この資格が公務員にとって「外に出られる証明書」になるということです。

公務員の実務経験でも1級は受験できる

そもそも「役所の仕事は実務経験に入るのか」で止まっている方が多いはず。ここは工事の施工監督や指導・監督の業務であれば認められるもの。

つまり、現場を持たない発注者側にいても、資格までは到達できるということ。民間に出る前に、民間で通じる資格を取っておける立場にあります。

👉 地方公務員が1級土木施工管理技士に合格する方法

「取ってから動く」ほうが有利な理由

資格を持っていると、求人の入口そのものが変わります。監理技術者になれる人材を探している会社にとって、1級の有無は条件ではなく前提だからです。

しかも受験は現職のままできます。辞める決断をする前に、手札だけ増やしておけるのは公務員の強み。

土木公務員の転職で後悔した人の共通点

土木公務員の転職で後悔した人の共通点

戻りたいと言っていた人はいましたか?

筆者

いました。理由は給料ではありませんでした。

発注者と受注者は別の仕事

これがいちばん大きい落差。

役所にいる間は、決める側です。基準に合っているかを判断し、合わなければ直してもらう。ところが民間に移ると、直してくださいと言われる側に回ります。

同じ図面を見ていても、立場が逆になると仕事の中身が変わるもの。技術は同じでも、納期と採算という物差しが増えるところで苦しんでいました。

スピードの基準が違う

役所の仕事は、年度で動きます。議会も予算もそこに乗っているので、合わせるべき期限が1年単位。

民間は、それより短い単位で回っています。判断の速さを求められる場面が増え、「上司に確認します」が通りにくい環境に。ここを窮屈だと感じるか、やりやすいと感じるかは、人によって分かれていました。

この2つは求人票に書いていない

年収も休日も、求人票の数字で比べられます。ところが立場が逆になることの重さは、どこにも書いてありません。

面接で聞いても出てきません。会社側は入ってほしいので、わざわざ言わないもの。結果として、移ってから気づくことになる。

事前に埋められる方法が1つだけあります。同じ立場から移った人の話を聞くこと。役所から来た人が社内に何人いるか、その人たちが続いているかは、応募前に確認できる情報です。

転職しないほうがいい土木公務員の条件

転職しないほうがいい土木公務員の条件

辞めることを勧める記事にはしたくないので、逆も書いています。

残ったほうがいい人
  • 不満の原因が上司や部署である(異動で消える可能性がある)
  • 勤続20年を超えていて、退職手当の伸びが大きい
  • 転勤や単身赴任ができない事情がある
  • 資格をまだ持っていない

1つ目が意外と多いんです。土木職はきつい部署とそうでない部署の差が激しく、2年後の異動で状況が変わることも。

いまの職場のきつさが構造的なものか、担当と上司の組み合わせなのか。ここを切り分けないまま辞めた人が、外でも同じ壁に当たっていました。

👉 公務員の技術職がきついと言われる理由

僕が転職ではなく独立を選んだ理由

僕が転職ではなく独立を選んだ理由

ここは僕自身の話です。そして1つ、明かしておきます。

僕自身は民間企業へ転職していません。役所を出たあと、会社に属さない道を選びました。なので民間で働く体験談は書けず、ここまでの内容は送り出した側から見た20年分。

同僚を見送りながら、組織を替えても、決める人が上にいる構造は同じだと感じていました。それが嫌だったので、会社に属さない形を選びました。

これは正解だからではなく、僕の不満の場所がそこだったからです。仕事の内容が不満なら転職、組織そのものが不満なら独立。分かれ目はここにあると思っています。

👉 公務員から民間企業へ転職するには?

在職中に始める転職準備

在職中に始める転職準備

辞める前提でなくてかまいません。自分の値段を知るだけでも意味があります。

STEP
担当した工種を書き出す

道路、河川、下水、公園、橋梁。工種と発注規模が、民間から見たあなたの経歴です。年度ごとに書き出すだけで、職務経歴書の骨組みに。

STEP
資格の状況を確認する

1級土木施工管理技士を持っていないなら、まず受験の計画を立てるほうが先です。持っている人と持っていない人で、提示される条件が変わります。

STEP
エージェントに自分の値段を聞く

辞める決断は、まだ要りません。いまの経歴がいくらで評価されるかを聞くだけでも、残るか動くかの材料に。

担当者に「工種」が通じるかどうかで変わる

「橋梁の補修設計を発注していました」と言って、そのまま通じる相手かどうかの差です。

よく「建設特化を選べ」と言われますが、求人数では大手の総合型が勝ちます。建設業界の求人をいちばん多く持っているのは総合型のほうなので、そこを外す理由はありません。

差が出るのは登録したあと。総合型はあらゆる業界を扱うため、工種や資格の価値をこちらから伝える必要がある場面も出てくる。

だからSTEP1で書き出した工種のメモが効きます。「道路の改良を年間○件、1件あたり○千万円規模で発注」まで言えれば、担当者が建設専門でなくても求人を探せます。

面談は無料で、申し込んだ時点で辞めることが決まるわけでもありません。求人を見て「思ったより高い」「思ったより低い」を知るだけでも、残る判断の材料に。

土木公務員におすすめの転職サービス3つ

エージェントは2〜3社に登録するのが前提です。1社だと紹介される求人が偏るため、比べられません。

サービスタイプ土木職はこう使う
ビズリーチスカウト型1級土木施工管理技士や技術士を登録して、どこからいくらで声がかかるか見る
リクルートエージェント総合型
エージェント
建設業界の求人数が最も多い。工種を伝えて探してもらう
リクナビNEXT転職サイト担当者と話す前に、自分で求人の相場だけ見ておく
※すべて無料。登録した時点で辞めることが決まるわけではありません

ビズリーチ|動かずに自分の値段だけ知る

辞める気がまだ固まっていない方に、いちばん向いています。登録して、来るスカウトを見るだけで済むから。

資格と工種を登録情報に入れておくと、どの業界からいくらで声がかかるかが見えてきます。これは職場にいながら手に入る情報です。

僕が「辞めるかどうかを先に決めないほうがいい」と書いたのは、こういう確かめ方があるから。残る判断にも使えます。

\ 登録してスカウトを待つだけ /

リクルートエージェント|建設の求人数で選ぶ

本気で動くなら、求人数がいちばん多いところを押さえておきたいところ。建設コンサル・ゼネコン・インフラ企業のいずれも、ここで探せます。

登録のときに工種と発注規模を先に伝えてください。担当者が建設専門ではない場合もあるので、こちらから出したほうが話が早くなります。

\ 書類添削・面接対策も無料 /

どのサービスでも、在職中であることを最初に伝えておいてください。勤務時間中の連絡を避けてもらえます。公務員は職務専念義務があるため、ここは先に言っておくほうが安全です。

在職中の転職活動を職場に知られないために

狭い業界なので、ここは慎重にいきたいところ。

  • 職場のパソコンとメールは使わない
  • 内定が出るまで、同僚にも話さない
  • 取引のある業者への応募は、担当を外れてから

3つ目は土木職に固有の話です。いま自分が発注している相手に応募するのは、利害関係の面で避けたほうが無難です。

土木公務員の転職に関するよくある質問

現場経験がなくても建設業界に移れますか?

発注者側の経験は評価されます。設計書の作り方、積算、検査の基準を知っている人材は建設コンサルで求められるため、施工の実務がないことが決定的な不利にはなりません。ただしゼネコンの施工管理を狙う場合は、現場の経験差を埋める説明が必要になります。

40代・50代でも動けますか?

資格と工種次第です。1級土木施工管理技士や技術士を持っていれば、年齢よりそこを見られます。一方で退職手当は勤続年数で伸びるため、辞めることで失う額も大きくなります。年収だけでなく退職金を含めて計算してから判断してください。

1級を持っていないと厳しいですか?

厳しくはなりますが、不可能ではありません。ただし現職のまま受験できる立場にいるので、取ってから動いたほうが条件は良くなります。急ぐ理由がなければ、資格を先に片づける順番をおすすめします。

公務員から公務員への転職はありですか?

不満の原因が「いまの職場」に限定されているなら、有力な選択肢です。土木職は経験者採用の募集が出やすく、給与や休暇の制度も似ているため生活が崩れにくいというのが、見てきた印象。

在職中に転職活動をしてもいいのですか?

問題ありません。ただし勤務時間中に活動するのは避けてください。職務専念義務があるため、面談や書類作成は勤務時間外に行う必要があります。

まとめ|土木公務員の転職は手札を増やしてから決める

まとめ|土木公務員の転職は手札を増やしてから決める

この記事で書いてきたことをまとめると次のとおりです。

  • 土木職は経験がそのまま通じるため、公務員の中では動きやすい
  • 行き先は建設コンサル・ゼネコン・インフラ企業・他の官公庁
  • 年収は賞与と退職手当を含めて比べないと判断を誤る
  • 1級土木施工管理技士は現職のまま取れて、外で通じる
  • 後悔した人は、発注者と受注者の違いを軽く見ていた
  • 不満が上司や部署なら、異動で消える可能性がある

20年いた僕が言えるのは1つ。辞めるかどうかを、先に決めないほうがいい。

資格を取り、自分の値段を聞き、工種を書き出す。ここまでは残る選択をしても無駄になりません。手札が増えてから決めれば、どちらを選んでも後悔が減ります。

\ 登録してスカウトを待つだけ /

\ 書類添削・面接対策も無料 /

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次