地方公務員として働いているあなたがもし「この本さえ読んでおけば能力が上がるよ」という本があれば読んでみたいですよね。
この記事では地方公務員として働く方に、ぜひ読んでほしい本を1冊ご紹介します。
公務員の本は分厚く読みにくいものが多いですが、今回ご紹介する本はとても読みやすく、具体的にあなたが何をするべきか書かれた本です。
公務員の読み書きそろばん
「(どんな部署でも必ず役に立つ)公務員の読み書きそろばん」は2020年に6月に発売されたもので、そのあとも増刷されています。
著者の林誠さんは以下のような方です。
- 所沢市財務部長。1965年滋賀県生まれ。
- 早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。
- 日本電気株式会社に就職し、そのあと所沢市役所に入庁。
- 一時埼玉県庁に出向し、現在に至る。
- 市では財政部門、商業振興部門、制作企画部門に所属。
- 役所にも経営的な発想や企業会計的な考え方も必要と中小企業診断士資格を取得
また東京オリンピック・パラリンピックに向けて通訳案内士資格を取得。
まわりの地方公務員にはいない経歴と行動力ですよね。
この本は次の6章で構成されています。
- 読む
- 書く
- そろばん
- 話す
- IT
- キャリア
1ページにつき1つの内容が書かれているのでどこからでも読めます。
辞書のように使えるので私は職場に置いています。
今回はその中から皆さんにすぐに役立つと思う内容を各章ごとにご紹介します。
ぜひ最後までお読みください。
1章「読む」2章「書く」
まず1章「読む」と2章「書く」では、いつも前にいた人達が使ってきたものをそのまま使ってきた起案文や文書について、そこに自分がどのような思いを込めるかを考えさせられます。
起案文を作成するときに「簡潔的に分かりやすく、そして後の世代に引き継ごう」という思いを持っていますか?
例えば工事の際に住民へ配布する周知文書も、使い古された様式で決まったことを書くだけでしたが、それでは「そんな回覧覚えてないわ」と言われてしまいます。
そりゃそうです。
読んでもらうための工夫なんてしていませんから。
文字のサイズやフォントを変えるなどいくらでも工夫できるんです。
またどんな仕事でも前年踏襲で「前任者がしていたとおりにやればいい」と思う癖がついている方も多いと思います。
すると、いちいち根拠法令を当たることもありません。
そこはきちんと「逐条地方自治法」や「地方自治小六法」、「自治六法」などのいわゆる「ものの本」に自ら当たる癖をつけるべきなんです。
理由は、こういった定番の本は共通見解となっているので、あの本に書いていたと説明すると納得してくれますし、読んでいるうちに頭の中が整理されるからです。
ネットで調べると法令についてでてきますが、紙で当たることが大事だとわたしは思います。
前後のつながりや目次で当たる中で他にも意外なことを見つけることができることがあるからです。
議会答弁の書き方
また公務員の「書く」ことの中でも重要なのが、議会の答弁書です。
この本でも議会答弁の作成時の注意事項が書かれてあります。
別の記事で初心者向けに議会答弁書の書きかたを解説していますので、ぜひそちらもご覧ください。
3章「そろばん」
3章は本の題名になっている「そろばん」です。
そろばんとは自治体にとって何をするのにも必要になる財政に関心を持つことが大事ということです。
財政に関心を持つと、予算要求の時に財政担当とお互いの立場に立った意見交換ができ、納得して進めることができます。
具体的に何をするかというと最低、次の3つの指標を押さえることが大事とのこと。
- 経営収支比率
- 歳入に占める地方税の構成比
- 実質公債比率
全て総務省のホームページで全国の都道府県や市区町村の決算カードにより公表されています。
自分の自治体が近くの大きい市よりも健全に運用されてるんだと驚きました
また財政に関することで「地方交付税の算定式」はご存知でしょうか?
「基準財政需要額-基準財政収入額」でプラスになれば普通地方交付税として交付されます。
収入額よりも需要額の方が多いということは財政基盤が弱いということ。
自治体間での財政格差を補うために財政基盤の弱い自治体に配分されるものです。
この交付税は地方固有の財源です。
こちらも先ほどと同じく総務省が公表している決算カードの中にあるので、自分の自治体がいくら交付税を受けていてそれが歳入の何%に当たるのかを抑えておきましょう!
4章「話す」
4章「話す」では対話力やプレゼン力、質問力の大事さが書かれています。
公務員として働くのにもこういった力は大事です。
それぞれの内容について、書店では多くの本が売られていますよね。
それくらい多くの人が自信がなく、必要としていること分かる。
この本ではこれらの力を公務員としてどう生かすか、何を身につけるべきなのかが書かれています。
「公務員も使える、話し方・伝え方」については、別の記事で書いていますので、ぜひ見てください。
5章「IT」
5章「IT」はネットでの検索の仕方が書かれています。
例えばgoogleなどで検索する方法として、次の3つはご存じでしょうか。
- 「○○ inurl:city」で検索すると〇〇に関する市のサイトだけが表示される
- 「○○ filetype:pdf」で検索するとPDF形式のサイトだけが表示される
- 「allintext:(3つの単語)」で検索すると3つの単語全てが含まれるサイトだけが表示される(3つの単語の間はスペースを空けるだけ)
こういった検索方法などを知ることで、調べかたが上手くなり、自分で調べることが面白くなります。
実際にこれらを知ることで、議会の答弁を考える際の根拠資料を調べることができました。
ですので今後必ず、どんな職員にもITの知識が必要になってきているのでしょう。
6章「キャリア」
6章「キャリア」では、公務員は安定していますが、自らのキャリアプランをイメージして主体的に動こうというものです。
あなたはどういう公務員になりたいですか?
そのプランのイメージを持ち続けることが大事です。
まわりに「こういう人になりたい」という人がいればイメージを持ちやすくなるかもしれませんが、いない場合でもネットでいくらでも人と繋がれる時代なのでメンターを外に探すこともできます。
また大事なのは公務員としての軸を持つことと家族・子供に対して恥ずかしくない振る舞いや判断をすること。
これを意識するだけで日々の難しい判断をする際の支えになります。
公務員の仕事は大義名分がなければ動いてはいけません。
ですので融通が気がずにスピード感もないため「お役所仕事」と揶揄されることもあります。
しかしこれは仕方のないことです。
なぜなら公務員は税金を扱うから。
税金を扱う以上公平かつ意味のある使い方が求められます。
格好をつけてもダメですし、感情で動いてもダメです。
役所で働く人間としてはこれは譲れませんよね!
まとめ
役所にある法令や基準書などの本は、5千円から1万円もする本が多いですよね。
そんな本を自分用に実費で買うのは、なかなか手が届かないと思います。
この本は1800円プラス税で買えます。しかも2〜3時間でひと通り読めるので繰り返し読んで実践することができます。
この本で公務員に大切なことを全体的に把握して、深堀りしたい点があれば、その点について書かれた本を読んでみるともっとその点に詳しくなれます。
別の記事では、『住民対応に悩む公務員が絶対に買っておくべき本2選』をご紹介しておりますので、ぜひそちらもご覧ください。
この記事があなたが自分のなりたい公務員像を見つける手助けになると幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。