公務員が病気休暇を取るデメリットはある?給与・評価への影響や取得手順を元公務員が解説

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体調がすぐれないけれど、無理して働かなきゃ…

そんな不安を抱えるあなたへ。

公務員には心身の不調からしっかり回復し、焦らず復帰できるように設けられた「病気休暇」という制度があります。

本記事では、病気休暇の制度設計や休職との差、取得するメリットや注意点、申請の手順から復帰後までをわかりやすく整理していきます。

「いつ取ればいい?金銭や評価への影響は?」「申請時に何を伝えればいい?」といった悩みにも具体的にお応えします。

正しい制度の理解と、事前の準備があれば、かえって不安が減り、自身の回復とキャリアを守れる一歩になります。

あなたが元気に職場へ戻るための、安心できるナビゲーターとしてご活用ください。

この記事にぴったりな人
  • 体調不良やメンタル不調で「病気休暇」を検討している公務員
  • 病気休暇を取得すると「人事評価・給与に不利な影響があるのでは」と不安に感じている公務員
  • 休職や退職リスク、周囲への影響など制度の落とし穴を事前に知りたい人
  • 上司や同僚の目が気になり、病気休暇の取得を迷っている公務員
  • 復職後の働き方についても気になる人
目次

公務員の病気休暇とは?制度の基本を理解しよう

体調を崩したときに「無理せず回復して戻る」ための仕組みが病気休暇です。

まずは制度の目的、休職との違い、利用するメリットを押さえ、不安を要素ごとに整理していきましょう。

病気休暇の概要と目的

病気休暇は、心身の不調で通常勤務が難しいときに、所属の規程に基づいて勤務を免除し、療養に専念するための制度です。

身分は維持され、復職を前提に体調を整えることが狙いになります。

項目内容
対象医師の判断がある不調 など
目的回復と再発防止、復帰準備
根拠人事院規則/各団体の条例・内規

無断欠勤を避け、記録上も適正に扱えるため、本人と職場の双方にとって整理がつきやすくなります。

「病気休暇」と「休職」の決定的な違い

病気休暇は比較的短期を想定し、復帰までの橋渡しに用います。

休職は中長期の療養が必要なときに選択されます。

公務員が休職を繰り返すと、キャリアや人事評価に影響が出やすくなるため注意が必要です。

観点病気休暇休職
目的短期の療養長期の療養
身分いずれも維持(職務は免除)
給与・手当取扱いは規程により異なる
手続比較的簡易審査・書類が厳格

段階に応じて制度を使い分けることで、誤解や不利益を避けやすくなります。

病気休暇を取得するメリット

適切に取得すると、悪化や長期化を防ぎ、結果的に職場への影響も抑えられます。

具体的な利点
  • 回復に集中でき、再発リスクを下げられる
  • 遅刻・欠勤の増加など記録上の不利を避けられる
  • 主治医の指示を基準に復帰計画を立てやすい
  • 早期対応で休職・離職の回避につながる
筆者

短期の適切な療養が、長期のキャリア損失の最小化に結びつきます。

公務員が病気休暇を取得するデメリットと金銭・評価への影響

制度は回復を支える一方、金銭・評価・キャリアに波及する面もあります。

先に影響範囲を理解し、必要な証拠書類や説明の準備を整えることで、不利益は抑えやすくなります。

金銭面:給与・ボーナス(賞与)・昇給への影響

病気休暇は、給与や賞与、昇給の算定に影響する可能性があります。

理由は、支給要件や在職期間のカウント、成績率(人事評価を反映する率)などに休暇日数が関わるためです。

項目影響しやすいポイント
賞与基準期間・成績率に反映されることがある
昇給評価対象実績が減ると号俸改定に影響する場合がある
手当勤務実績を要件とするものは減額の可能性
筆者

取扱いは所属の規程で異なるため、人事・給与担当に事前確認を。

人事評価や出世(キャリア)への影響

評価・昇任は実績と再現性で判断されるため、休暇により業績事例や加点機会が減ると不利に働きやすくなります。

特に短期間に反復した取得や、復帰後の説明不足は誤解を招きがちです。

対策の要点
  • 目標を立て直し、進み具合を簡単にメモしておく
  • 医師のコメントと復帰プランを上司と共有する
  • 面談の内容はメモにして、双方で確認しておく

療養の必要性が明確で、再発防止策を示せれば、評価のブレは抑えられます。

長期間になると免職(クビ)の可能性も

長期化すると、病気休暇から休職へ移行し、さらに上限を超えると分限免職に至る可能性があります。

特に公務員が休職を繰り返すケースでは、制度上の制約から退職リスクが高まる点に留意しましょう。

上限や要件は条例・規程で異なる点に注意が必要です。

備えるべきこと
  • 定期的に医師の判断をもらい、「働けるか」を更新する
  • 配置換えや短時間勤務などの選択肢を早めに検討する
  • 制度の期限を把握し、必要書類や手続きを前広に準備する

早めに選択肢を検討すれば、直前の拙速な判断を避けられます。

同じ病気での再取得は期間が通算される

同一または関連する傷病による病気休暇は、通算して扱われる運用が一般的です。

再発や症状のぶり返し、診断名の表記揺れでも、医師所見上ひとつの経過と見なされれば通算対象になり得ます。

注意点

  • 診断名や症状の変化を同じ基準で記録する
  • 再取得のときは治療計画と回復の見込みを示す
  • 通算を前提に、休む期間や延長の要否を検討する

通算を意識した計画で、制度上の上限に余裕を持たせましょう。

病気休暇の具体的な取り方と申請の流れ

スムーズに進めるためには、「早めに職場へ相談すること」と「提出すべき書類を決められたとおりに揃えること」が大切です。

以下では、相談→診断書→申請の順に手順を整理し、期間設定や延長診断書が不要とされる場面の判断材料もまとめます。

ステップ1:上司(管理職)への相談

最初に行うのは、体調不良で通常勤務が難しい事実を上司へ簡潔に伝えることです。

理由は、人員調整や引き継ぎ、申請経路の確認を先に整えるほど手戻りが減るため。

次の要点をまとめておきましょう。

  • 事実ベースで「症状・影響・希望開始日」を共有
  • 緊急度(即日〜数日内)と連絡手段(電話/メール)を決める
  • 当面の業務の棚卸しと引き継ぎ書(簡易版でOK)を用意

無理を重ねるより、早期相談で全体の負担を最小化できます。

ステップ2:医師の診断書の取得と提出

医療機関で就労可否を判断してもらい、診断書(休養の必要性・目安期間 等)を取得します。

根拠文書があると、申請審査や職場の配慮が進めやすくなるためです。

準備すると良い情報

  • 症状の経過と業務で困っている場面
  • 勤務形態(時間外の有無、対人業務 など)
  • 希望する開始日と期間の目安

原本は人事へ、手元には控えを残すと後日の延長判断にも活用できます。

ステップ3:病気休暇の申請と承認

申請は所属の様式・ルートに沿って行い、開始日・区分・期間を明確に記載します。

形式を整えるほど承認が滞りにくくなります。

チェックリスト

  1. □ 休む期間と理由をはっきり書いた?(開始日/終了日・合計日数・病気休暇の区分)
  2. □ 診断書の出し方は確認した?(原本 or コピー、提出先・提出方法)
  3. □ 連絡のルールは決めた?(連絡頻度・手段、復帰可否を判断する窓口〈上司・人事など〉)リスト

承認後は通知文書や決裁番号を控え、給与・評価への影響説明に備えます。

休暇期間の設定と延長の方法

期間は「回復に必要な最短」を基本に、主治医の所見と業務の再開条件を合わせて設定します。

長すぎても短すぎても再調整が増えるため、節目ごとに再評価するのが実務的です。

ポイント

  • リハビリ期間(通院/短時間勤務の準備)を見込む
  • 延長時は最新の診断書か意見書を提出
  • 面談で復帰目標と評価期間の扱いを共有

計画的に見直すほど、復帰後の不整合を避けられます。

診断書なしで休めるケース

所属の規程によっては、短期の不調で診断書提出を省略できる取扱いがある一方、日数や回数に上限が設けられることもあります。

根拠が曖昧だと後日の評価や賞与算定で不利益が出るため注意が必要です。

留意点

  • 「短期は自己申告で可」などの要件を必ず確認
  • 反復取得や連続取得時は医師意見を求められることが多い
  • 後日の証明要請に備え、体調記録と連絡履歴を残す

迷えば早めに医療受診し、証拠を整えるのが安全策です。

病気休暇中の過ごし方と注意すべきNG行動

病気休暇は、心身の健康回復を目的とした制度です。

早期の職場復帰を目指すためにも、休暇中の過ごし方には十分注意する必要があります。

ここでは、健康回復に繋がる過ごし方と、避けるべき行動について解説します。

療養に専念するための過ごし方のコツ(生活リズム・運動など)


回復を早めるには、生活の土台を整え、医師の指示を軸に無理をしないことが要点です

具体的には、

  • 起床・就寝を同じ時刻にそろえる
  • 15〜30分の散歩など軽い有酸素運動
  • 刺激の強い情報や深夜スマホを控える
  • 三度の食事と水分補給を意識
  • 症状・服薬・気分を日記で記録

小さな習慣の積み重ねが再発予防につながり、復職準備の目安も掴みやすくなります。

やってはいけないNG行動(旅行はOK?)

治療に支障が出る行為や、社会通念上の整合性を欠く行動は避けるべきです。

旅行は、医師の許可があり療養に資する範囲の短時間外出を除き、観光目的や長距離移動は誤解の原因になりやすいです。

NG例

  • 無断の遠出、深夜の飲酒会、体力を要するレジャー
  • 副業、派手なSNS投稿 など

医師の許可を得て、必要に応じて上司や職場に相談・共有し、記録を残せばトラブルを防げます。

虚偽の申請や制度の悪用は絶対NG

虚偽の申請や制度の濫用は、信頼の失墜だけでなく、規程上の不利益(懲戒等)の対象になり得ます。

疑われることを防ぐためには、

  • 診断書や通院記録を正確に保管
  • 申請内容と実際の行動の整合を常に確認
  • 連絡義務・報告頻度を守る
  • 再取得時は経過と治療計画を明示

透明性を保てば、周囲の納得感が高まり、安心して療養に集中できます。

病気休暇からの復帰とその後

復帰の鍵は、客観的な可否判断と無理のない再開設計です。

ここでは判断プロセス、段階的復帰の選択肢、よくある不安への対処を順に押さえ、安心して職場に戻るための土台を整えます。

復職可否の判断プロセス(面談・主治医意見・職場配慮)

復職は「健康面の妥当性」と「業務上の実行可能性」の両輪で決めます。

主治医の就業可否意見を基点に、上司・人事と面談し、勤務時間や担当業務の条件をすり合わせる流れが一般的です。

進め方の例

  • 主治医意見(就業可否・配慮事項)を取得します
  • 所属面談で業務量・時間帯・通院配慮を設計
  • 合意内容を文書化し、開始日と評価方法を明確化しておく

医療と職場の視点をつなげるほど、無理のない復帰になります。

段階的復帰/試し出勤などの一般的な支援例


再発を抑えるには段階的復帰が有効です。

最初は短時間・軽負荷から始め、体調と実績を見ながら幅を広げます。

代表的な選択肢は次のとおり。

  • 試し出勤(数時間・隔日 など)
  • 短時間勤務(午前のみ 等)→ 時差出勤の併用
  • 業務の絞り込み(対人負荷や繁忙案件を当面外す)
  • 定期面談で振り返りと次の負荷設定
  • 在宅の限定併用、通院時間の確保

小さな成功体験を積むほど、安定した常態化に近づきます。

復帰後のよくある不安と対処法

復帰直後は「体力がもつか」「周囲の目」「評価の遅れ」が不安になりがちです。

対処は、見える化と早めの相談が基本。

復帰後の具体策
  • 週次1on1で体調・業務量・期限を調整
  • 短期目標を文書化し、到達度で評価を確認
  • 警戒サイン(睡眠悪化 など)を共有して早期介入
  • 情報キャッチアップは優先順位を明確に
  • 雑談や朝会で関係再構築を少しずつ

不安はゼロにできなくても、設計と記録でコントロールできます。

民間企業との比較(参考)

制度の背景を知ると、公務員制度の位置づけが見えます。

ここでは「導入状況」「有給/無給の違い」「規程の明記・周知」の3点から、公務員との共通点と相違点を整理します。

導入状況

公務員は、人事院規則や条例などに基づき制度が標準化されやすい一方、民間は法定義務がなく会社ごとの任意運用になりがちです。

結果として、名称・日数・要件が企業規模や業種、労使関係によってばらつきます。

区分運用の傾向
公務員全庁で統一運用になりやすい
民間年休で対応/独自の病気休暇枠を設けるなど多様

差が大きいほど、転職や配偶者の勤務先との制度比較が有効です。

有給/無給の違い

公務員の病気休暇は、所属の規程に基づき有給扱いを基本に設計されることが多く、範囲や賞与の取り扱いは内規で決まります。

民間は会社ごとに、有給・一部有給・無給のいずれかで設計され、制度がない場合は年休消化や欠勤で対応する運用もあります。

無給時は健康保険の傷病手当金など、公的給付で一部を補えることがある点も押さえておくと安心です。

就業規則への明記・周知の実務ポイント

公務員の病気休暇は、法律に基づいて運用されるため、制度内容が明確であり、職員への周知も徹底されています。

各自治体の就業規則(職員服務規程など)にも詳細が定められており、誰でも確認できるようになっています。

一方、民間企業では、休職制度の有無や内容は企業の就業規則に委ねられています。

そのため、社員への周知が不十分な場合や、制度の内容が不明確なケースも散見されます。

病気やケガで休む必要が生じた際、公務員は安心して制度を利用できますが、民間企業では就業規則を自ら確認する必要があるなど、対応に差が生じる可能性があります。

よくある疑問Q&A

病気休暇に関する疑問や不安は多くあります。

ここでは診断書の必要性や病名変更、副業や外出の許可範囲について代表的な質問にお答えします。

診断書なしで休める?そのリスクは?

短期の不調なら診断書を省略できる場合もありますが、多くは日数・回数の上限があり、長引けば提出が必要になります。根拠が弱いと不利益につながる可能性があります。

避けたいリスクは次の3つ↓

  • 要件を満たさず「欠勤」扱いに変更されることがある
  • 反復取得が理由で説明の負担が増える
  • 後日の確認で整合性が取れず評価に響く恐れ

早めに受診し、医師の意見書と連絡記録を残しておくと、誤解や不利益を最小化できます。

病名を変えて再取得は評価に響く?

診断名が変わっても、医学的に同じ経過なら通算されるのが一般的です。名称変更で期間のリセットを狙うような対応は、信頼低下や評価のブレを招きます。

再取得の3つのポイント↓

  • 主治医の所見で症状経過を一貫して記録
  • 再取得時は治療計画と復職見込みを提示
  • 人事面談の内容は文書化して共有

透明性を保つほど、必要な療養と公正な評価の両立がしやすくなります。

休暇中の副業/外出/SNSはどこまでOK?

基準は「療養を妨げず、社会通念と合うか」。副業は許可制や職務専念義務に触れやすいため原則控えるのが安全です。外出は通院や軽い散歩など治療に資する範囲に留めましょう。

注意すべき3点↓

  • 長距離旅行や深夜の飲酒は避ける
  • 必要な外出は目的・時間を上司と共有
  • SNSで派手な投稿や位置情報の発信は控える

医師の許可と、職場への透明な連絡を徹底すると、後々のトラブル回避に役立ちます。

まとめ:デメリットを正しく理解し、病気休暇制度を適切に活用しよう

本記事では、公務員の病気休暇制度のメリット・デメリットを詳しく解説しました。

この制度は給与が保障される手厚い仕組みであり、安心して療養に専念できる大きなメリットがあります。

一方で、長期の取得や「公務員が休職を繰り返す」状況になると、ボーナスや昇給、人事評価に影響を与える可能性があり、最悪の場合は免職となるリスクもゼロではありません。

これらのデメリットを正しく理解し、事前に上司と相談し、医師の診断書を取得するなど、適切な手続きを踏むことが重要です。

制度の悪用は厳禁であり、療養に専念しつつも、復帰後のキャリアを意識した誠実な行動が、公務員としての信頼を守る上で不可欠です!

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