「公務員って年金が多いんでしょ?」
親戚や友人から、そんな風に言われたことはありませんか。
実は私も元公務員として働いていた頃、周りから同じようなことをよく言われました。でも、その根拠をちゃんと説明できる人は少ないんです。
結論から言うと、「昔は本当に多かった」というのが正しい答えです。ただ、今の制度では事情が変わってきています。
この記事では、公務員の年金がなぜ多いと言われてきたのか、その歴史的な理由と今の実態を、元公務員でFP2級を持つ筆者が整理してお伝えします。
■ この記事でわかること
- 公務員の年金がかつて優遇されていた理由
- 2015年の制度変更で何が変わったのか
- 今の公務員は本当に有利なのかの実態
「公務員は年金が多い」と言われるのはなぜ?結論から解説


やっぱり公務員の年金って、会社員より多いんですよね?



結論を言うと、「今もわずかに多いが、昔ほどの差ではない」というのが正確なところなんです。
公務員の年金が多いと言われる背景には、はっきりとした理由があります。ただし、その理由は「今の制度」と「昔の制度」で中身が違います。
- 昔(共済年金時代):保険料率や給付水準そのものが厚生年金より優遇され、「職域加算」という上乗せもあったため、会社員との差は大きめでした
- 今(2015年一元化後):保険料も給付の基本計算も会社員とほぼ同水準に揃えられました。ただし「年金払い退職給付」という3階部分の上乗せだけは公務員に残っているため、その分だけわずかに有利な状態です
次の章から、この差がどう生まれ、どう縮まってきたのか、具体的に見ていきましょう。
昔は本当に多かった!共済年金時代の優遇





「共済年金」って言葉、聞いたことはあるけど何のことかよくわからなくて。



公務員だけが入っていた昔の年金制度のことなんです。
公務員の年金が優遇されていると言われる理由は、この「共済年金」という独自の制度にあります。どんな仕組みだったのか、具体的に見ていきましょう。
共済年金と厚生年金の給付水準の違い
会社員が入る厚生年金と、公務員が入っていた共済年金は、もともと似たような仕組みでした。
ただ、保険料率や給付の計算方法に細かい差があり、同じくらい働いても共済年金の方がやや手厚い給付になりやすい設計だったんです。
とはいえ、この違いは制度上の話であって、公務員個人が「得をしよう」として選んだものではありません。
職域加算という上乗せ制度
共済年金時代には、「職域加算」という公務員だけの上乗せ部分がありました。
これは会社員の厚生年金にはない、公務員独自の3階部分にあたるものです。
「公務員は年金が多い」というイメージの多くは、実はこの職域加算の存在によるところが大きいと言われています。
ただし、この職域加算は2015年の制度改正で廃止されています。
2015年 被用者年金一元化で何が変わったか





じゃあ、今はもう共済年金じゃないの?



そうなんです。2015年に大きな制度変更があって、今は厚生年金に一本化されているんですよ。
「公務員の年金は優遇されている」というイメージのもとになった制度は、実は今から10年ほど前に大きく変わっています。何がどう変わったのか整理します。
一元化前後の比較
2015年10月、公務員が加入する共済年金は廃止され、会社員と同じ厚生年金に統一されました。これを「被用者年金一元化」と呼びます。
| 項目 | 2015年9月まで | 2015年10月以降 |
|---|---|---|
| 加入する制度 | 共済年金 | 厚生年金 |
| 保険料率 | 厚生年金よりやや低い水準 | 厚生年金と同水準に統一 |
| 3階部分 | 職域加算あり | 年金払い退職給付に変更 |
保険料の負担も給付の計算方法も、会社員とほぼ同じルールに揃えられたのが大きなポイントです。
今も残る「年金払い退職給付」という差
職域加算が廃止された代わりに導入されたのが「年金払い退職給付」という新しい制度です。
厚生年金にはない3階部分として、今も公務員に残っている上乗せにあたります。ただし、以前の職域加算よりも給付水準は抑えられた設計になっています。
結局、今の公務員は年金面でどれくらい有利なのか





ここまで聞くと、結局公務員って得なの?損なの?



正直に言うと、「多少は有利、でも安泰と言えるほどではない」というのが今の実態です。
ここまで見てきた歴史と制度の変化を踏まえて、今の公務員が本当に年金面で有利なのか、具体的に整理していきます。
今と昔の差はどのくらい縮まったのか
共済年金時代と今とでは、公務員と会社員の年金の差はかなり縮まっています。
2015年の一元化により、1階部分(国民年金)・2階部分(厚生年金)の保険料や給付の計算方法は、公務員も会社員もまったく同じルールになりました。
国家公務員共済組合連合会が示すモデルケースでは、この3階部分の年金月額は17,299円(終身退職年金8,108円+有期退職年金9,191円)とされています。
| 項目 | 共済年金時代 | 今(一元化後) |
|---|---|---|
| 1・2階部分(基礎年金+厚生年金) | 会社員よりやや優遇 | 会社員と全く同じ計算方法 |
| 3階部分 | 職域加算(制度上は手厚い設計) | 年金払い退職給付(モデル月額17,299円) |
| 会社員との月額差 | 3階部分含め比較的大きい | 実質、月17,299円程度(3階部分のみ) |
保険料も給付の計算方法も会社員とほぼ同じルールに揃えられているため、「公務員だから特別」と言える部分は、以前よりずっと小さくなっています。
「年金だけで安泰」という考え方のリスク
私自身、現役の頃は「公務員だし年金があるから老後は安心」と漠然と思っていました。
ただ、実際にFPの勉強をして数字を確認したとき、その安心感は少し過信だったと気づいたんです。
「公務員だから年金だけで安泰」という考え方は、今の制度を踏まえると少し楽観的すぎるかもしれません!
3階部分の上乗せは残っていても、その規模はかつてほど大きくなく、年金だけで生活費すべてをまかなえる保証はどこにもないからです。



年金の仕組みを正しく知ったうえで、年金以外の備えも合わせて考えておくことが、これからの時代には欠かせません。
「共済年金」「一元化」…言葉は分かっても制度は説明できますか?


ここまで読んで「共済年金が優遇されていた」「今は一元化された」という流れは理解できても、じゃあ今の年金がどんな種類で構成されているのか、と聞かれるとうまく説明できない、という方は多いのではないでしょうか。
実は、歴史的な経緯だけを知っていても、自分が今後受け取る年金の中身までは見えてきません。制度の全体像を知って初めて、この記事で解説した「何が変わったのか」の意味がはっきり腹落ちします。
公務員の年金は、国民年金・厚生年金・年金払い退職給付という3つの層が重なる「3階建て」の構造でできています。このうち3階部分にあたる年金払い退職給付だけが、今も公務員に残る独自の上乗せです。
歴史の流れと制度の中身、両方がつながって初めて「今の自分の年金」が正しく見えてきます。3階建て構造の詳しい解説はこちらの記事にまとめています。


結局、自分は月いくらもらえるのか気になる方へ


「公務員の年金は昔ほど優遇されていない」と分かった今、次に浮かんでくるのは「じゃあ結局、自分はいくらもらえるんだろう」という疑問ではないでしょうか。
歴史や制度の話だけでは、老後の生活費が足りるかどうかの判断はできません。具体的な金額のイメージを持って初めて、今からどう備えるべきかが見えてきます。
公務員の年金は、勤続年数35年前後で月20万円前後というのが一つの目安です。会社員の厚生年金の平均が月15万円程度とされているのと比べると、やや高めの水準になる傾向があります。
「多い・少ない」のイメージだけで終わらせず、勤続年数・役職別の具体的なモデルケースを次の記事で確認してみてください。


まとめ|年金だけに頼らない備えを


公務員の年金がかつて優遇されていたのは事実ですが、2015年の一元化によって、その差は月1万7,000円程度の3階部分にまで縮まりました。
「公務員だから年金は安泰」というイメージは、もう昔の話です。今の公務員が受け取る年金は、会社員とほとんど変わらない水準になっています。
その最も身近な備えが、退職金です。預けたままにするか、活かす方法を考えるかで、20年後、30年後の安心感は大きく変わってきます。
\ 年金の差が縮まった今こそ、退職金の活かし方を考えるタイミングです /
「誰に相談すればいいか分からない」という方も多いはず。後悔しない相談先の見極め方を、こちらの記事で詳しく解説しています。




はごもち
- 元役所勤務
- 某県庁へ出向
- 1級土木施工管理技士取得
- ファイナンシャルプランナー取得
- 20年近く公務員として働き早期退職
- 現在はwebライターやブロガーとして活動
- 公務員を続ける人・辞めたい人・なりたい人を応援!
