
定年延長で60歳から給料が7割になるって本当?



ボーナスも7割に減るのかな
定年が65歳まで段階的に引き上げられ、60歳以降は給料月額が7割になるという話は職場でも耳にします。
ただ、肝心のボーナスがどうなるのかを説明した資料は、ほとんど見かけません。自治体の通知も人事院のパンフレットも制度の説明が中心で、金額の話になっていないからです。
そこで人事院の資料を読み込んで、期末手当と勤勉手当がどう計算されるのかを確認。
結論を先に言うと、ボーナスは「7割にする手当」のリストに入っていません。それでも結果的に下がります。理由は算定の仕組みにあります。
- 2026年度の定年は何歳か(早見表つき)
- 60歳以降のボーナスがいくらになるか
- 年収がいくら下がるか(給料月額別の早見表)
- 退職手当は減るのか
結論|年収は約7割。ただし減り方が給料と違う


先に数字を出します。給料月額40万円、扶養手当2万円、住居手当2.8万円、地域手当10%の人で計算しました。
| 60歳前 | 60歳以降 | 率 | |
|---|---|---|---|
| 月例給 | 490,000円 | 358,000円 | 73.1% |
| 年間ボーナス | 2,146,650円 | 1,519,650円 | 70.8% |
| 年収 | 8,026,650円 | 5,815,650円 | 72.5% |
年収で約221万円の減少。手取りは概ね8割なので、年に約642万円だったものが約465万円へ。
注目してほしいのは、ちょうど7割になっていない点。72.5%です。扶養手当や住居手当が減らないぶん、少しだけ緩やかになります。
定年延長はいつから?2026年度の定年は62歳


まず前提の確認から。定年は2023年度(令和5年度)から2年に1歳ずつ引き上げられています。
【早見表】年度ごとの定年年齢
| 年度 | 定年年齢 |
|---|---|
| 令和4年度(2022) | 60歳 |
| 令和5〜6年度(2023〜24) | 61歳 |
| 令和7〜8年度(2025〜26) | 62歳 |
| 令和9〜10年度(2027〜28) | 63歳 |
| 令和11〜12年度(2029〜30) | 64歳 |
| 令和13年度〜(2031〜) | 65歳 |
地方公務員の定年は国家公務員の定年を基準として条例で定めることになっています。ですので、お勤めの自治体の条例も同じスケジュールのはず。
7割になるのは「60歳の後の最初の4月1日」から
誕生日からではありません。人事院の資料では、職員が60歳に達した日後の最初の4月1日以後という整理。
この日を特定日と呼びます。つまり61歳になる年度の初めから7割、という理解で合っています。



6月生まれなら、60歳になった翌年の4月1日から。
2月生まれなら、60歳になった年の4月1日からです
ボーナスは7割措置の対象外。それでも下がる


ここが本題です。人事院が60歳以降の手当を整理した区分は3つ。
| 区分 | 主な手当 | どうなるか |
|---|---|---|
| 7割水準とする | 俸給の調整額、俸給の特別調整額、初任給調整手当、管理職員特別勤務手当 | 手当額そのものに70%を掛ける |
| 7割にしない (定額のまま) | 扶養手当、住居手当、通勤手当、単身赴任手当、特殊勤務手当、宿日直手当、寒冷地手当 | 60歳前と同じ額 |
| 7割にしない (給料月額に連動) | 地域手当、超過勤務手当、休日給、夜勤手当、期末手当、勤勉手当 | 基礎額が7割になるので結果的に下がる |
期末手当と勤勉手当はいちばん下の区分に入っています。「7割にする」と直接決められているわけではありません。
ではなぜ下がるのか。算定基礎額の中身を見ると分かります。
期末手当は7割より少し高くなる
地方公務員のボーナスを決めるのは、次の式。
期末手当 = 給料月額 + 扶養手当 + これらに対する地域手当
勤勉手当 = 給料月額 + これに対する地域手当
細かい話ですが、条例は「これら」と「これ」で書き分けています。勤勉手当に入る地域手当は給料月額だけに対するもので、扶養手当のぶんは含まれません。
給料月額が7割になると、地域手当も連動して下がります。地域手当は給料月額に率を掛けて出すからです。
ところが扶養手当だけは減りません。こちらは定額のまま。
その結果、こうなります。給料月額40万円、扶養手当2万円、地域手当10%、2026年12月期(2.375月分)の場合です。
| 60歳前 | 60歳以降 | 率 | |
|---|---|---|---|
| 期末手当(1.2875月) | 594,825円 | 424,875円 | 71.4% |
| 勤勉手当(1.0875月) | 478,500円 | 334,950円 | 70.0% |
| 合計 | 1,073,325円 | 759,825円 | 70.8% |
期末手当は71.4%、勤勉手当は70.0%。扶養手当が入る期末手当だけ、わずかに7割を上回る形。
逆に言うと、扶養親族がいない人の期末手当はちょうど70.0%。計算してみると、ぴったり7割になりました。



差は年に3万円ほど。大きくはありませんが、
「ちょうど7割」と思っていると見積もりがずれます
【早見表】60歳以降の年収はいくらか


給料月額ごとに年収を計算しました。条件は住居手当2.8万円、地域手当10%、年間賞与4.75月分。
| 給料月額 | 扶養手当 | 60歳前の年収 | 60歳以降 | 差額 |
|---|---|---|---|---|
| 35万円 | なし | 678万円 | 485万円 | ▲193万円 |
| 35万円 | 2万円 | 711万円 | 517万円 | ▲193万円 |
| 40万円 | なし | 771万円 | 550万円 | ▲221万円 |
| 40万円 | 2万円 | 803万円 | 582万円 | ▲221万円 |
| 45万円 | なし | 863万円 | 614万円 | ▲249万円 |
| 45万円 | 2万円 | 895万円 | 646万円 | ▲249万円 |
| 50万円 | なし | 955万円 | 678万円 | ▲276万円 |
| 50万円 | 2万円 | 987万円 | 711万円 | ▲276万円 |
給料月額が高い人ほど、減る金額も大きくなります。率はどの層でも71〜73%に収まりました。
ここに超過勤務手当は入れていません。残業の多い職場なら、実際の減り幅はもう少し小さくなるかと。
手取りで見ると、給料40万円・扶養2万円の人で年約642万円から年約465万円というのが目安です。
退職手当は減りません(ピーク時特例)


給料が7割になるなら退職金も減るのでは、と心配になります。ここには救済措置がありました。
60歳前のいちばん高い給料で計算される
退職手当の基本額は、通常なら退職日の給料月額で計算します。7割になった後に退職すると、そのまま7割で計算されてしまう。
そこでピーク時特例という仕組みが用意されています。人事院の資料ではこう整理されています。
特定減額前俸給月額(=特定日前の最も高かった俸給月額)が退職日の俸給月額よりも多いときは、高いほうを使って退職手当の基本額を計算する
つまり7割になる前の給料月額で計算されるということ。役職定年で降任した場合も同じ扱いになります。
60歳以降に辞めても定年退職と同じ扱い
もうひとつ措置があります。60歳に達した日以後に定年前で退職した場合も、当分の間は定年退職と同様の算定。
自己都合退職の低い支給率にはなりません。つまり「65歳まで働かないと退職金が減る」という心配は要りません。
ボーナスの計算方法そのものについては、別記事で詳しく。
60歳以降の進路は3つに分かれる


制度の話が続いたので、僕が職場で実際に見ていた話も書いておきます。
僕の周りでは、60歳前後の職員の動きがおおむね3つに分かれていました。
① 役職定年のあとそのまま継続する
管理監督職の人は、60歳に達した日後の最初の4月1日までに管理職以外へ降任します。これが役職定年。
そのうえで、同じ職場にフルタイムで残る人がいます。仕事の内容は変わりますが、収入はこの記事で計算した水準が維持されます。
② 定年前再任用短時間勤務を選ぶ
60歳以降に定年前で退職して、短時間勤務の職に採用される制度です。勤務時間は週15時間30分から31時間までの範囲。
注意点として、この場合は扶養手当が支給されません。ボーナスも期末1.4月・勤勉0.96月と、フルタイムより低い支給割合になります。
③ 別の機関で働く
外郭団体や関連機関に移る人も、思ったより多い印象です。収入だけで比べると下がるケースもありますが、勤務時間や通勤の負担で選んでいる人もいます。
どれを選ぶかは60歳に達する年度の前年度に意思確認されます。任命権者には、任用・給与・退職手当の制度を情報提供する義務があるので、そこで示される数字を必ず確認してください。
定年延長とボーナスのよくある質問


まとめ|ボーナスは7割、でもちょうど7割ではない


ここまでの内容が頭に入ったか、下のチェック表で確認できます。
数字が分かると、60歳以降の選択も考えやすくなります。意思確認の前に一度、ご自身の給与明細で計算してみてください。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
