「理系なのに公務員なんてもったいない」——親や友人からそんな言葉を受け、自分の進路選択に迷っていませんか?
理系出身者が公務員を選ぶ際、確かに給与水準や専門性の活用といった点で課題はあります。
しかし、公務員は安定した雇用、ワークライフバランスの取りやすさ、そして長期的に見た生涯年収の安定性といった大きな強みも備えています

20年近く土木職の地方公務員として働いた経験を持つ僕が、理系出身者の公務員選択について客観的に解説します。
技術職と行政職の違い、試験の難易度、実際の働き方、そして新卒・院卒での就職活動のポイントまで、現場の実態を踏まえて詳しくお伝えします。
この記事を読めば「もったいない」という意見の真偽を確かめ、あなたにとって最適なキャリア選択ができるはずです。
- 公務員という選択肢に、親や友人から「もったいない」と言われて迷っている方
- 就職活動中の理系学生(大学院生含む)
- 公務員への転職を考えている理系の方
理系出身者が目指す公務員とは


理系出身者が公務員を目指す場合、技術職から事務系職まで幅広い選択肢があります。
理系の専門知識を活かした技術職だけでなく、実は事務系の公務員にも挑戦可能で、それぞれ異なる試験内容や業務特性を持っています。
理系でも受験できる公務員の種類
区分 | 代表職種 | 主な試験科目 | 倍率の目安 |
---|---|---|---|
技術職 | 土木、建築、電気・電子、機械、化学、農学、林学など | 数学・物理・化学など理系専門科目 | 2〜5倍程度 |
事務系 | 行政職、法律職、経済職、国税専門官、財務専門官など | 法律、政治学、経済学、行政学など | 5〜15倍程度 |
理系出身者が受験できる公務員試験には、技術職と事務系職という大きく2つのルートがあります。
公務員試験の受験資格は基本的に「年齢」と「学歴(大卒程度など)」で、文系・理系や学部の区別はありません。
多くの人が「理系は技術職しか受験できない」と考えがちですが、実際には行政職や事務職といった文系向けの職種にも挑戦できます。
技術職については、土木、建築、電気・電子、機械、化学、農学、林学など多様な分野で募集があります。
一方、事務系職種では行政職、法律職、経済職、国税専門官、財務専門官などが代表的。
技術職は募集人数が少ない一方で受験者も限定されるため、一般に倍率は2〜5倍程度と比較的低め。
行政職(事務系)は応募者が多く、国家一般職で4〜8倍、地方自治体では5〜15倍ほどになることもあります。



このように理系出身者には豊富な選択肢があり、自分の興味関心に応じて進路を選択することが可能です。
技術系公務員と行政職(事務系)の違い
項目 | 技術系公務員 | 行政職(事務系) |
---|---|---|
仕事内容 | 専門知識を活かした業務(建設、環境、農林など) | 幅広い行政業務、異動が多い |
試験科目 | 理系専門科目(数学・理科など) | 法律・経済・行政学など社会科学 |
配属先 | 専門部署や関連部局に長期配属 | 県庁・市役所の様々な部署に数年ごと異動 |
給与体系 | 基本的に事務系と同じ | 基本的に技術系と同じ |
技術系公務員と行政職では、仕事内容から試験科目まで大きく異なります。
技術系公務員は、大学などで学んだ専門的な知識を生かして特定の分野で活躍できる点が魅力で、専門性を重視した業務に従事します。
試験でも理系の専門科目が出題されるため、大学で学んだ知識を直接活用できます。
一方、行政職は幅広い行政分野を担当し、異動により様々な部署を経験することが一般的です。
試験では法律、政治学、行政学、経済学といった社会科学系の科目が出題され、理系出身者には馴染みの薄い分野となります。
しかし、給与体系については基本的に同じ俸給表が適用されるため、初任給や昇進による給与上昇に大きな違いはありません。
配属先についても違いがあります。
技術系公務員は専門分野に特化した部署への配属が基本で、建設、環境、農林などの関連部署で長期間働くケースが多い。
行政職は県庁や市役所の様々な部署を数年おきに異動し、総務、財政、福祉、教育など多岐にわたる。
技術職の具体的な職種と業務内容
- 土木職:道路・橋梁の設計、河川整備、都市計画
- 建築職:公共建築物の設計・工事監督、耐震診断
- 電気・電子職:公共施設の電気設備管理、情報システム運用
- 化学職:環境分析、水質検査、廃棄物処理管理
- 農学職:農業政策立案、農地整備、技術普及指導
技術職の職種は、理系の専門分野を幅広くカバーしており、各分野で専門性の高い業務に携わります。
土木職では道路や橋梁、河川整備の設計・施工管理、都市計画の策定などを担当します。
建築職は公共建築物の設計・工事監督、建築確認申請の審査、耐震診断業務などが主な仕事です。
電気・電子職では、公共施設の電気設備管理、情報システムの運用保守、デジタル化推進業務などを行います。
近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れで、IT関連の技術職の採用が増加傾向にあります。
化学職は環境分析、水質検査、廃棄物処理施設の管理運営などが中心業務となります。
農学系では、農業振興政策の企画立案、農業技術の普及指導、農地整備事業の推進などを担います。
配属先は本庁の専門部局のほか、出先機関での現場業務も多く、民間企業との連携や住民対応なども重要な職務となります。
公務員試験の難易度・倍率(技術系 vs 事務系)
区分 | 倍率の目安 | 備考 |
---|---|---|
技術系 | 2〜5倍 | 受験者が限定されるため比較的低め |
行政系(国家一般職) | 4〜8倍 | 文系・理系問わず応募が多い |
行政系(地方公務員) | 5〜15倍 | 自治体によって差がある |
公務員試験の競争倍率は、技術系と事務系で大きな差があります。
理系の技術職は、倍率的には結構低めで、行政系だと10倍くらいはザラですが、技術系だと2〜3倍程度なのも少なくありません。
これは技術職の募集人数が少ない反面、受験者も限定されるためです。



技術系職種は専門知識が必要なので、該当する学部・学科出身者以外の受験がむずかしいので、自然と競争相手が絞られます。
特に機械、電気、建築などの一般的な工学系分野は比較的安定して採用募集がありますが、林学や水産学などの特殊分野では年度によって募集がない場合もあります。
事務系職種は受験資格が幅広く、文系・理系を問わず多くの学生が挑戦するため、倍率が高くなりがちです。
国家公務員一般職の行政職では10倍前後、地方公務員でも5〜15倍程度の倍率となることが一般的。
ただし、理系出身者は数的処理や経済学の計算問題で優位性を発揮できるため、実質的な競争は倍率ほど厳しくない場合もあります。
合格に必要な得点は6〜7割程度で、過去問対策を中心とした準備により十分合格を狙えるレベルです。


理系で公務員になるのは「もったいない」のか?デメリット5選


親や友人から「理系なのに公務員はもったいない」と言われて悩む人は少なくありません。確かに理系出身者が公務員を選ぶ際に、収入面や専門性の活用という観点でデメリットを感じる場面があるのも事実です。
- 給与・待遇が民間の研究職・IT職より低め
- 大学・大学院で学んだ専門知識を活かしにくい
- 院卒と学部卒で仕事内容や待遇に差がないことが多い
- IT・デジタル人材が埋もれやすくスキルを発揮できない
- 部署によっては激務があり「ホワイト」とは限らない
給与・待遇が民間の研究職・IT職より低め
理系出身者が民間企業で研究開発職やIT職に就いた場合、公務員よりも高い給与を得られる可能性はあります。
民間企業の研究開発系の仕事は、残業が多いのもあって給料が高く、大手のメーカー系ともなるとボーナスもたくさん貰えます。
特に大手IT企業や製薬会社、自動車メーカーなどでは、理系の専門職に対して高額な初任給やインセンティブを設定しているケースも珍しくありません。
公務員の場合、安定した昇給制度はあるものの、年功序列的な側面が強く、若手時代の給与水準は民間の研究職と比べて見劣りがち。
また、技術職であっても2〜3年おきの異動により、専門分野から離れた部署に配属される可能性もあり、その際は給与面での優遇も期待できません。
生涯年収で考えると公務員の安定性にメリットがあるものの、20~30代時の収入格差は理系出身者にとって「もったいない」と感じる要因の一つとなっています。
大学・大学院で学んだ専門知識を活かしにくい
公務員の仕事では、大学や大学院で身につけた高度な専門知識を直接活かす機会が限られる場合があります。
技術職として採用されても、実際の業務内容は政策立案や予算調整、民間業者との調整業務が中心となることが多く、研究室で行っていたような最先端の研究とは性質が大きく異なります。
特に理系の院卒者の場合、修士課程や博士課程で培った研究スキルや論文執筆能力が業務で求められる場面は少なく、むしろ事務処理能力やコミュニケーション能力の方が重要視される傾向にあります。
民間企業の研究開発部門であれば、大学での研究経験を直接活かせるプロジェクトに携わることも可能ですが、公務員の場合は現場をまわって得た実務経験の方が重要となるケースが大半です。
このギャップにより「せっかく学んだ知識がムダになる」と感じる理系出身者も少なくありません。
理系院卒と学部卒で仕事内容が変わらないことも
公務員組織では、院卒と学部卒で明確に役割分担がなされていないケースが多く見られます。
民間企業では院卒者専用のポストや研究職採用枠が設けられていることがありますが、公務員の場合は学歴に関係なく同じような業務を担当することが一般的。
院卒者であっても学部卒の同期と同じ部署に配属され、同様の事務作業や現場対応を行うことになります。



修士号や博士号の取得に費やした時間と労力を考えると、学部卒と同じ待遇・仕事内容では「院卒のメリットがない」と感じるのもムリはないのかなと。
このような状況が、理系院卒者にとって公務員選択を「もったいない」と感じさせる大きな要因となっています。
IT・デジタル人材が埋もれやすいという課題
近年、政府や自治体ではDX推進が急務となっていますが、実際の公務員組織ではIT・デジタル分野の専門人材が適切に活用されていない現状があります。
情報系学部出身者やプログラミング能力を持つ理系人材が技術職として採用されても、従来の事務処理業務に従事させられることが多く、せっかくのデジタルスキルを活かす機会に恵まれません。
民間のIT企業であれば、最新技術に触れながら成長できる環境が整っていますが、公務員組織は保守的な面が強く、新しい技術導入に時間がかかる傾向があります。また、予算制約や前例主義により、革新的なシステム開発や業務改善提案も実現が困難な場合が多い。
特に若い世代のIT人材にとって、技術的なチャレンジができない環境は大きなストレス要因となります。
結果として、貴重なデジタル人材が埋もれてしまい、本来の能力を発揮できないまま時間を過ごすことになりがちです。
「ホワイト職場」とは限らず、ブラックな部署もある
公務員は「定時で帰れる」「有給も取りやすい」というホワイト職場のイメージが強いですが、実際には部署によって労働環境に大きな差があります。
予算編成を担当する財政部門、議会対応が必要な企画部門、災害対応を行う危機管理部門などでは、月80時間を超える残業が常態化していることも珍しくありません。
特に国家公務員の本省勤務では、深夜0時を過ぎる残業や土日出勤が当たり前となっている部署も存在します。
技術職であっても、大型公共工事の監督や環境問題への対応など、緊急性を要する業務を担当する場合は長時間労働を余儀なくされます。
また、人員削減の影響で一人当たりの業務負荷が増加し、以前よりもハードな働き方を求められるケースも増えています。
有給休暇についても、繁忙期には取得が困難な部署があり、「公務員なら休みやすい」という期待は必ずしも現実と一致しません。



理系出身者が「ワークライフバランスを重視して公務員を選んだのに、結局激務だった」というケースが起こるのが現状です。
理系が公務員として働くメリット


一方で、理系出身者にとって公務員という働き方には多くの魅力的な点もあります。
給与面や専門性の活用において課題があるとしても、長期的な視点で見ると公務員ならではのメリットが数多く存在するので、ここでは4つ説明していきます。
- 安定した雇用と高い社会的信用
- ワークライフバランスを取りやすい(有給休暇・残業少なめ)
- 体系的な研修・成長支援制度が整っている
- 年功序列的な昇給で、生涯年収が安定している
安定した雇用と社会的信用
公務員最大のメリットは、何と言っても雇用の安定性と高い社会的信用です。
一度採用されれば、よっぽど大きな犯罪をしなければ解雇になることはほとんどありません。
民間企業では業績悪化によるリストラや事業縮小による人員削減のリスクが常に存在しますが、公務員にはそのような心配がありません。
結婚相手の親族からも「安定した職業」として評価されやすく、人生の重要な局面で公務員という肩書きがプラスに働くケースは少なくありません。
また、景気の変動に左右されることなく一定の収入を得続けられるため、長期的なライフプランを立てやすいという利点もあります。



理系出身者にとって、技術の移り変わりが激しい民間企業でのキャリアに不安を感じる場合、公務員の安定性は大きな魅力となるでしょう。
ワークライフバランスの取りやすさ(有給休暇・残業の少なさ)
公務員は民間企業と比較してワークライフバランスを取りやすい環境にあります。
年次有給休暇については、国家公務員で平均15.5日(内閣人事局「令和5年 国家公務員給与等実態調査」 ) 、地方公務員は自治体や年度で異なりますが平均12.6日(総務省) の取得実績があり、民間企業の平均11.0日を大きく上回っています。
また、1年目から15〜20日の有給休暇が付与されるため、入職直後から十分な休暇を取ることが可能です。
年間休日も約125日と民間企業の平均110.7日より多く、土日祝日に加えて夏季休暇や年末年始休暇もしっかりと確保されています。
残業についても、部署によって差はあるものの、理系の研究開発職で見られるような深夜までの長時間労働は比較的少ない傾向にあります。



家族との時間を大切にしたい、プライベートの時間を確保したいと考える理系出身者にとっては、この環境は大きな魅力ですね。
研修・成長支援制度が整っている
公務員組織では、職員の成長を支援する研修制度が体系的に整備されています。
新任職員向けの初任研修から始まり、3年目フォローアップ研修、課長補佐級研修、課長級研修など、キャリアステージに応じた段階的な研修プログラムが用意されています。
これらの研修では、行政の基礎知識から管理職としてのマネジメントスキルまで、幅広い内容をカバーしています。
特に技術職の場合、専門分野に関する最新技術や法制度の変更に対応するための専門研修も充実しています。
また、官民人事交流制度や海外派遣制度により、民間企業や海外の行政機関での経験を積む機会も提供してくれる。
自己啓発等休業制度を活用すれば、大学院での学び直しや資格取得のために一定期間休職することも可能。
長期的に見た生涯年収の安定性
公務員の給与は初任給こそ民間企業より低めかもしれませんが、長期的に見ると安定した生涯年収を実現できます。
年功序列的な昇給制度により、年齢とともに着実に給与が上昇し、40代で600万円台に達し、50代では700〜800万円前後になるのが一般的です。特に国家公務員本府省勤務や都市部の自治体ではこの水準に近づきやすいです 。
また、退職金制度も充実しており、定年まで勤め上げれば相当額の退職金を受け取ることができます。
民間企業の場合、景気変動や業界の動向によって給与やボーナスが大きく左右されることがありますが、公務員では人事院勧告に基づく安定した給与改定が行われます。
理系の技術職として採用された場合でも、管理職への昇進により給与水準をさらに向上させることも可能です。
また、共済年金制度により老後の生活保障も手厚く、民間企業で働く同世代と比較して将来への不安が少ないのも特徴です。
一時的な高収入よりも長期的な安定を重視する理系出身者にとって、公務員の給与体系は大きな魅力となるでしょう。
新卒・院卒で公務員を目指す場合


理系学生が公務員を目指す際は、新卒採用での特徴や院卒の扱い、初任給の実態を正しく理解することが重要です。民間企業との併願を含め、具体的な選択肢とそのメリット・デメリットを確認していきましょう。
新卒で公務員になるメリット・デメリット
- 安定した雇用と福利厚生
- 充実した研修でスキル習得がスムーズ
- 同期とのネットワーク形成がしやすい
新卒で公務員になる最大のメリットは、入庁直後から安定した雇用と充実した研修体制が得られることです。
入庁後は段階的な業務習得プログラムが用意されており、専門知識がなくても徐々にスキルを身につけられる環境が整っています。
また、同期とのネットワーク形成や組織文化への適応もスムーズに進むでしょう。
一方でデメリットとして、初任給が民間の研究職や技術職と比べて低いことが挙げられます。
大学で学んだ専門分野と直結しない部署への配属も多く、理系としての専門性を十分に活かせない可能性があります。
さらに、民間企業のような成果主義ではなく年功序列が基本となるため、若いうちに高収入を得ることは困難です。
新卒時の選択は長期的なキャリアに大きく影響するため、安定性と専門性のどちらを優先するかを慎重に判断する必要があります。
院卒は就職活動で有利になるのか?
院卒者が公務員試験で特別に有利になることは基本的にありません。
公務員試験は年齢と学歴(大学卒業以上)が受験資格の主な要件であり、院卒と学部卒で試験内容や合格基準が変わることはないためです。
むしろ、院卒者は研究活動で忙しく、公務員試験の勉強時間確保に苦労する場合が多いでしょう。
一方、行政職を志望する場合は「なぜ専門分野を活かさず事務職を選ぶのか」という質問に説得力のある回答を準備する必要があります。
新卒1年目の年収・ボーナス・休暇事情
区分 | 年収(初年度) | ボーナス | 年次有給休暇 |
---|---|---|---|
国家公務員 | 約360〜380万円 | 在職期間に応じ支給 | 初年度2〜15日(翌年以降20日) |
地方公務員 | 約340〜370万円 | 在職期間に応じ支給 | 初年度2〜15日(翌年以降20日) |
大卒新規採用の場合、国家公務員は手当込みで 年間360〜380万円程度、地方公務員は 340〜370万円程度が目安です。
ボーナスは初年度は在職期間に応じた支給となるため、2年目以降の方が安定します。
休暇制度については公務員の大きな魅力の一つで、年次有給休暇は制度上「最大20日」付与されますが、初年度は採用月に応じて 2〜15日程度の段階付与が一般的です。
2年目以降になると原則20日付与されます。
その他にも夏季休暇や病気休暇、特別休暇(結婚、出産、忌引など)が充実しており、ワークライフバランスを重視する人には適した環境といえます。
ただし、部署によっては繁忙期に残業が発生することもあり、すべての職場が「定時退庁」できるわけではありません。
民間企業の初任給と比較すると決して高くはありませんが、安定性と福利厚生を重視するなら十分魅力的な条件でしょう。


公務員と民間企業を併願するという選択肢も
理系学生にとって公務員と民間企業の併願は現実的な選択肢です。
両方を受験することで、最終的により良い条件の職場を選択できるメリットがあります。
併願する際は、公務員試験の勉強と民間企業の選考対策を効率的に両立させることが重要になります。
公務員試験で培った論理的思考力や問題解決能力は、民間企業の適性検査や面接でも活用できるため、相乗効果が期待できるでしょう。
ただし、併願には相当な時間と労力が必要です。
研究活動で忙しい理系学生にとって、両方の対策を十分に行うことは容易ではありません。
また、民間企業の内定時期と公務員試験の合格発表時期にズレがあるため、内定承諾のタイミングで悩むケースも多く見られます。
併願を成功させるためには、早期から計画的に準備を進め、自分にとって本当に重要な価値観(安定性、給与、専門性の活用など)を明確にしておくことが不可欠です。
最終的な選択で後悔しないよう、両方の特徴を十分に理解した上で決断しましょう。


公務員試験への準備と合格のポイント


理系学生が公務員試験に臨む際は、技術系と行政職で対策方法が異なります。
独学の可能性や理系ならではの有利な点、効果的な勉強法、面接でのアピール方法を具体的に解説します。
技術系公務員は独学で合格可能?必要な勉強時間
技術系公務員の場合、大学で学んだ専門を活かせば短期間でも有利に戦えます。
ただし、合格には 600〜800時間程度の学習が必要とされることが多く、半年間の集中学習で到達できる人もいれば、1年をかけて準備する人も珍しくありません。
教養科目については高校レベルの基礎知識の復習が中心となり、理系学生なら数学や理科は比較的短時間で対策できます。
専門科目は大学のテキストと過去問題集を併用し、出題傾向を把握することが重要になります。
土木や建築などの職種では計算問題が多く出題されるため、公式の暗記よりも応用力を重視した学習が効果的です。
ただし、募集人数が少ない職種では高得点が要求されるため、余裕を持った準備期間を確保することがおススメ。
独学の場合は情報収集と学習計画の管理が重要なポイントとなりますが、やはり難しいので、僕はオンライン予備校をおススメしています。


行政職志望の場合、理系が不利or有利?
理系学生が行政職を志望する場合、実は文系学生よりも有利な面があります。
なぜなら公務員試験で配点の大きい数的処理(数学的思考を問う問題)を理系学生は得意とするためです。
また、経済学の計算問題では微分・積分の知識が活用でき、文系学生が苦手とする分野で差をつけられる。
法律科目についても、理系の論理的思考力があれば条文の構造理解や判例の整理は十分可能でしょう。
一方で不利な点として、法律や行政学の基礎知識がないため、初期の学習で時間を要することが挙げられます。
しかし、公務員試験の専門科目は暗記中心で、過去問の反復練習により短期間でも得点力向上が期待できます。
面接では「なぜ理系なのに行政職を選んだのか」という質問への準備が必要ですが、理系の視点から行政課題を分析したいという動機を明確に示せば説得力のある回答になります。
総合的に判断すると、理系学生の行政職受験は決して不利ではありません。



僕のまわりにも多くいましたよ!
試験対策方法(予備校・独学・模試)
公務員試験対策は予備校通学と独学の2つの方法があります。予備校のメリットは体系的なカリキュラムと充実したサポート体制で、費用は30万円程度が相場と高めですが、確実性を重視するなら有効な選択肢です。
独学の場合は市販のテキストと過去問題集を使用し、費用を3万円程度には抑えられます。
理系学生は研究活動で時間制約があるため、効率性を考慮すると予備校利用が現実的でしょう。
オンライン学習サービスのある予備校を活用すれば、移動時間や実験の合間にも効率的に学習できます。
勉強計画は逆算思考で立て、試験日から6〜12ヶ月前には対策を開始することが重要です。
特に理系学生は卒論や研究発表と試験時期が重なりやすいため、早めのスケジュール管理が合格の鍵となります。
継続的な学習習慣の確立が、どの対策方法でも最も大切な要素といえるでしょう。
面接で理系の強みをどうアピールするか
- 論理的思考力:研究活動で培った「仮説→検証→結論」のプロセス
- 問題解決能力:研究課題や実験での工夫・改善事例
- 専門性:最新技術やデータ分析への関心・活用力
- チームワーク:研究室での共同研究や学会発表での経験
- 公務員への動機付け:理系の視点から行政課題に貢献したいという姿勢
理系学生が面接で最もアピールすべきは、論理的思考力と問題解決能力です。研究活動で培った仮説設定から検証、結論導出までのプロセスは、行政課題の解決にも直結する能力として評価されます。具体的には、「研究で直面した課題をどう解決したか」を数値やデータを交えて説明し、その思考プロセスを行政業務にどう活用するかを明示しましょう。
技術系職種では専門知識の深さに加え、最新技術動向への関心や学び続ける姿勢をアピールすることが重要です。行政職志望の場合は「理系の視点から行政を見直したい」「データに基づく政策立案に貢献したい」など、理系ならではの価値提供を具体的に伝える必要があります。
チームワークについては、研究室での共同研究や学会発表の経験を通じて協調性や発信力をアピールできるでしょう。
面接官に「この人材を採用したい」と思わせるためには、理系の専門性と公務員としての使命感を両立させた志望動機の構築が不可欠です。
よくある質問(Q&A)
まとめ:後悔しないキャリア選択のために


理系出身者にとって公務員という選択は決して「もったいない」ものではありません。確かに初任給の低さや専門知識を活かしにくい環境など課題はありますが、安定した雇用、充実した福利厚生、ワークライフバランスの取りやすさといった公務員ならではの魅力も数多く存在します。
技術職なら2〜3倍程度の低い競争倍率で合格を狙え、行政職志望でも数的処理や経済学の計算問題で理系の強みを発揮できるでしょう。
重要なのは、給与の高さを重視するか、長期的な安定性を求めるか、自分にとって本当に大切な価値観を明確にすることだと僕は思います。
民間企業との併願も現実的な選択肢として検討して、様々な可能性を比較検討してください。
理系だからこその論理的思考力と問題解決能力は、どの職場でも必ず評価される貴重なスキルです。
周囲の意見が気になりますが、なるべく惑わされることなく、あなた自身が納得できるキャリア選択が行えるといいですね。僭越ながら応援しています!