「公務員の差額支給は15,056円アップ」というニュースを見て、自分の口座に入る額を計算した方も多いはず。
ただ教員の場合、その計算では足りません。一般の行政職にはない仕組みが2つあるためです。
結論を先に書くと、教員の差額支給は三重に効きます。給料月額の差額に加えて、教職調整額とボーナスの基礎額も一緒に上がるため。
この記事では給料月額別の試算表と、自分の額を出す手順をまとめました。条例が確定したあとに使える逆算の式も置いています。
- 給料月額別・教員の差額支給の早見表
- 教員だけ差額が三重に効く理由
- 2026年1月から上がった教職調整額との違い
- 市町村立学校なのに県が決める理由
教員の差額支給が三重に効く仕組み

給料が3.51%上がるだけじゃないんですか?



教員は給料に連動して動くものが2つあります。そこが行政職と違うところ。
①給料月額の差額(4月にさかのぼる)
まず土台になる部分。2026年8月7日の人事院勧告は、国家公務員の月例給を4月にさかのぼって改定する内容でした。
ただしこれは国家公務員の話。教員の給与は、各都道府県の人事委員会勧告を経て条例で決まります。国に準じる自治体が多いものの、改定率も実施時期も県の判断。
4月から改定前の給料で働いた分について、差額がまとめて精算される流れ。ここまでは行政職と同じです。
②教職調整額も一緒に上がる
ここからが教員だけの話です。
教職調整額は給料月額に一定の率をかけて算出されます。
つまり給料月額が上がれば、教職調整額も自動的に上がります。これは率が同じでも、かける元の数字が増えるため。
行政職には存在しない項目なので、ここが増える分だけ教員のほうが差額は厚くなる計算となります。
③ボーナスの基礎額まで上がる
そして教職調整額は、期末手当・勤勉手当の基礎額に含まれます。
| 期末手当の基礎額 | 給料月額+給料の調整額+教職調整額+扶養手当+地域手当 |
| 勤勉手当の基礎額 | 給料月額+給料の調整額+教職調整額+地域手当 (扶養手当は入りません) |
6月のボーナスは改定前の基礎額で計算して振り込まれています。その差額も後から精算されることに。
【早見表】教員の差額支給はいくらか
3.51%は官民較差の平均値であって、俸給表の改定率は号給ごとに違います。自分の確定額は条例が出てから計算することになりますが、桁感をつかむ目安として確認してみてください。
| 給料月額 | 月額の増加 (教職調整額込み) | 差額の試算 (総支給) |
|---|---|---|
| 20万円 | 約7,400円 | 約76,000円 |
| 25万円 | 約9,200円 | 約95,000円 |
| 30万円 | 約11,100円 | 約114,000円 |
| 35万円 | 約12,900円 | 約133,000円 |
| 40万円 | 約14,700円 | 約152,000円 |
| 45万円 | 約16,600円 | 約171,000円 |
上がり幅が分かったあとの逆算の式
条例が確定すると、自分の給料がいくら上がるかが分かります。そうなればこの表は不要。上がり幅さえ分かれば逆算できます。
給料月額の上がり幅 × 1.05 × 10.325
| 給料月額の上がり幅 | 差額の試算(総支給) |
|---|---|
| 5,000円 | 約54,000円 |
| 8,000円 | 約87,000円 |
| 10,000円 | 約108,000円 |
| 12,000円 | 約130,000円 |
| 15,000円 | 約163,000円 |
こちらのほうが確実。改定率ではなく実額から出しているためです。
この表より多くなる人・少なくなる人
- 多くなる…若手(改定率が厚い号俸)、地域手当のある地域、扶養手当あり
- 少なくなる…ベテラン層(改定率が薄い)、年度途中の採用、育休期間がある
人事院勧告の3.51%は全体の平均であって、俸給表の改定は号俸ごとに率が違います。初任層ほど手厚く、上位級ほど薄いのが例年の形。
自分の額を出す3ステップ
早見表より自分の数字に寄せたい方へ。概算であれば給与明細1枚で出せます。
明細の「給料」の欄を見てください。そこに改定率をかけた額が、1か月あたりの増加分。国基準なら3.51%ですが、都道府県の条例が確定したらその率に置き換えてください。
STEP1で出た増加分に、教職調整額の率をかけます。2026年は5%。これを足した額が1か月あたりの実質的な増加分になります。
4月から11月までなら8をかけます。そこへ6月期ボーナスの差額(増加分×2.325月)を足せば完成。
(給料月額×改定率)×1.05 ×(8+2.325)
2026年1月から教職調整額は5%に
差額支給とは別に、もう1つ動いているものがあります。給特法の改正による教職調整額の引き上げ。
| 時期 | 教職調整額 |
|---|---|
| 2025年12月まで | 給料月額の4% |
| 2026年1月から | 給料月額の5% |
| 以降 | 毎年1%ずつ引き上げ |
| 令和12年度 | 給料月額の10%(到達) |
給料月額30万円なら、4%で12,000円、5%で15,000円。月3,000円の差になります。
差額支給と混同しないように
この2つは別の話。混ざると計算が合わなくなる点に注意。
- 差額支給…2026年の給与改定を4月にさかのぼって精算するもの
- 教職調整額の引き上げ…2026年1月からの制度変更。毎年1%ずつ上がる
- 義務教育等教員特別手当の見直し…2026年4月からの制度変更
しかも2026年は、もう1つ動いています。改正給特法のうち義務教育等教員特別手当の見直しと主務教諭の新設は、2026年4月1日施行。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年1月1日 | 教職調整額が4%→5%(以降毎年1%ずつ) |
| 2026年4月1日 | 義務教育等教員特別手当を校務類型別に支給(学級担任への加算を想定) 主務教諭の新設 |
| 2026年12月ごろ | 給与改定にともなう差額支給(4月にさかのぼる分) |
明細を見て「思ったより増えている」と感じたら、このうちどれが効いているかを分けて考えてみてください。差額支給だけを探しても金額が合いません。
いつ振り込まれる?決めるのは市町村ではなく県



うちの市の条例を見ても、教員のことが書いていないんですが…



それで合っています。見る場所が違うんです。
県費負担教職員という仕組み
市町村立の小中学校に勤務していても、給与を負担して支給しているのは都道府県です。これを県費負担教職員と呼びます。
だから給与改定も、勤務先の市町村ではなく都道府県の給与条例で決まります。差額支給の時期も同じ。
原則は12月、ただし年明けの県もある
多くの都道府県では12月の期末・勤勉手当と同じ時期に差額が精算されます。ただ条例改正が議会を通るタイミング次第。
11月議会で可決すれば12月に間に合い、12月議会にずれ込めば1月以降になる県も。全国一律ではありません。
明細のどこに載るか
名称は自治体ごとに違いますが、「給与改定差額」「差額」「遡及差額」といった項目で、支給欄に1行足される形が一般的。
ボーナス分の差額は別行になることも、合算されることもあります。金額が合わないと感じたら、給与担当に内訳を聞くのが早道。
行政職も含めた差額支給の全体像、計算の内訳、注意点はこちらにまとめています。
12月の振込には冬のボーナスも入ります。月数と早見表はこちら。
教員の差額支給に関するよくある質問
まとめ|教員は計算式が1つ多い
- 差額は給料・教職調整額・ボーナス基礎額の3か所に効く
- 給料月額30万円なら総支給で約11万4,000円が目安
- 手取りは総支給の8割前後
- 2026年1月から教職調整額が5%。これは差額支給とは別の話
- 決めるのは市町村ではなく都道府県の条例
行政職と同じ計算をしていると、教職調整額の分だけ少なく見積もることになります。1つ多いと覚えておいてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
