「公務員は有給が多くて休みやすい」と耳にする一方で、「実際に全部消化できるの？」「職場の雰囲気で取りづらいのでは？」と不安に思う人も多いでしょう。
僕は公務員になる前、「何日有給休暇があるのか」なんて知りませんでした。
公務員になってからは、職場に休める空気がなかったこともあり、休んでいいものかも分からず、３年間は病気以外では休みませんでした。
自分で調べなかったこと、「休みは悪だ」と思い込んでしまったことを、とても後悔しています。
有給休暇の日数や繰り越しルール、取得率の実態を正しく知ることは、働き方を選ぶ上で大切です。
筆者あなたのキャリア選択やワークライフバランスの判断に役立ててください。
- これから公務員を目指す学生や、民間企業からの転職を考えている社会人
- 働き始めたばかりの新人公務員
有給休暇の日数と付与条件
公務員の有給休暇は法律や規則によって日数や付与のタイミングが細かく定められています。
ここでは、毎年の付与日数や初年度の取り扱い、さらに基準日について整理し、具体的にイメージできるよう解説します。
毎年付与される日数（最大20日）
公務員には、勤続年数に応じて毎年一定の日数の有給休暇が与えられ、上限は20日です。
なぜなら労働基準法に基づき、長期的に安定した働き方を確保する仕組みが整っているからです。
例えば、勤続年数が増えるにつれて日数が段階的に増加し、6年以上の勤務で毎年20日が自動的に付与されます。
これは「使わなければ消える」性質を持つため、計画的な取得が推奨されます。
結果として、多くの職員は年間20日を基盤にスケジュールを立てることになります。
採用初年度の付与日数（15日 or 20日）
新しく採用された公務員にも、有給休暇は初日から与えられます。
多くの自治体や職場では15日、または一律20日を付与するケースが一般的です。
なぜこのように差があるかというと、職場ごとの運用ルールや条例に基づいて調整されるためです。
例えば、国家公務員は採用時に15日、翌年度以降20日になる例が多い一方、地方公務員では最初から20日が与えられることもあります。
いずれの場合も、早い段階から休暇を活用できるのは新人にとって安心材料になります。
付与の基準日（1月／4月スタート）
有給休暇のカウントは、すべての職員が同じ日を基準として付与されます。
代表的なのが「1月1日付与」または「4月1日付与」のパターンです。
これは人事や給与の管理をシンプルにするために一律化されている仕組みです。
例えば、1月付与ならカレンダー年ごと、4月付与なら年度ごとに管理しやすくなります。
この基準日を理解しておくことで、翌年度への繰越や計画的な長期休暇の取得がしやすくなるでしょう。
結果的に、制度を把握することで休みを有効に活用できるようになります。
有給休暇の繰り越しとリセット
公務員の有給休暇は、使い切れなかった場合でも一定の日数を翌年度に持ち越すことができます。
ただし永遠に貯められるわけではなく、法律で上限や有効期限が定められています。
ここでは繰り越しの仕組みとリセットのルールを整理して解説します。
繰り越し可能日数と上限
「繰り越し可能日数と上限」
- 翌年度に繰り越せるのは最大20日
- 最大40日（当年分20日＋繰越20日）が上限
- 余分は失効
公務員は使わなかった有給休暇を翌年に繰り越すことができ、最大で20日まで翌年度に加算されます。
つまり「今年20日＋昨年から繰り越した20日」で、理論上は40日を所持できる仕組みです。
ただし、繰り越しには上限があるため、それ以上は失効してしまいます。
例えば、1年目に半分しか消化できなかった場合でも、翌年度には20日分しか残せません。
結果として、繰り越しは計画的に活用しないと無駄になる可能性があるのです。
2年ルールによるリセットの仕組み
公務員の有給休暇には「2年間の有効期限」が設けられています。
付与された年を含めて2年経過すると、未使用分は自動的に消滅するのです。
これは労働基準法の規定を踏まえた制度で、休暇を適切に取得させる狙いがあります。
例えば、2024年度に付与された20日は2025年度末までしか保持できず、それを過ぎれば消滅します。
筆者したがって「忙しいから貯めておこう」と考えるよりも、毎年しっかり消化することが重要です。
結果的に、このルールを理解しているかどうかが休暇の有効活用につながります。
有給休暇の取得実態と消化率
制度としては十分な日数が与えられている公務員の有給休暇ですが、実際にどの程度消化されているのか気になる人も多いはずです。
ここでは国家公務員・地方公務員の平均的な取得率、そして民間企業との比較を通して、実情を整理します。
国家公務員の平均消化率（約80%）
国家公務員は全体的に有給の取得率が高く、平均で約77％前後となっています。(内閣人事局「年次休暇の取得状況」（令和5年版 国家公務員白書）)
これは政府が率先して「休暇を取りやすい環境づくり」を進めてきた成果でもあります。
例えば、年5日の有給取得義務を超えて、職場単位で休暇取得を促す取り組みが行われていることも背景にあります。
もちろん部署ごとの差はありますが、民間と比べれば取得しやすい状況が整っているのが特徴です。
結果として、国家公務員は有給を比較的活用できる立場にあります。
地方公務員の平均消化率（約70%）
地方公務員の取得率はおおむね70％前後と、国家公務員よりやや低い水準です。
理由としては、自治体によって業務量や人員配置に大きな差があるため、忙しい部署では計画的に休めないことが多いからです。
例えば、住民対応が中心の窓口業務や、繁忙期が決まっている部署では取得率が下がる傾向があります。
ただし、近年は「働き方改革」の流れで改善が進みつつあります。
結果的に、地方公務員でも環境次第で有給を消化しやすくなるケースが増えています。
民間企業との比較
公務員と民間企業を比較すると、公務員の方が有給を取得しやすい環境にあります。
厚生労働省の調査によれば、民間企業の平均取得率はおよそ60％台にとどまっています。
一方、公務員は70〜80％と高めの水準を維持しています。
具体的には、業務が組織的に分担されやすい公務員の方が、誰かが休んでも業務が回る仕組みを取りやすいのです。
もちろん職場によって差はありますが、全体的に見れば公務員の方が休暇制度を活用しやすいと言えます。
有給休暇の取りやすさと現場の実情
制度上は十分な有給休暇が保障されていても、実際に取得できるかどうかは職場の雰囲気や上司の対応に左右されます。
ここでは、「公務員の現場で感じられる取りやすさ」や、「残しておいた方がよい」と言われる理由を解説します。
上司・職場の雰囲気による影響
有給休暇を取れるかどうかは、規則よりも「職場の雰囲気」による影響が大きいのが実情です。
たとえば、上司が率先して休暇を取る環境では部下も取得しやすくなりますが、逆に「忙しいから遠慮してほしい」という空気がある部署では申請しにくくなります。
特に人員が少ない職場では同僚への配慮も必要になり、自由度が下がることもあります。
そのため、取得率は制度ではなく職場文化に大きく左右されやすいのです。
フル消化は推奨される？残すべき？
有給休暇をすべて消化すること自体は法律上問題ありません。
ただし、実際には「非常時に備えて数日残しておいた方が安心」と考える人も少なくありません。
例えば、急な体調不良や家庭の事情でどうしても休まなければならない場合に、予備があると柔軟に対応できます。
さらに、同僚から「全部使い切るのは気が引ける」という声も現場ではよく聞かれます。
結果として、制度上はフル消化が可能でも、実務では少し残しておく人が多いのです。
目安として残しておくべき日数（5〜10日）
一般的に、公務員は年間で5〜10日程度を残しておくと安心と言われています。
「残すべき日数（5〜10日）である理由」
- 急な病気や家庭の事情に備えるため
- 職場の人間関係を円滑に保つため
例えば、子どもの急な発熱や冠婚葬祭など、予測できない事情はどうしても発生します。
その際、残りがゼロだと不安になりますが、数日確保しておけば安心感が違います。
もちろん部署によって最適な残し方は異なりますが、目安として「数日残す」ことは多くの職員が実践している工夫です。
有給休暇の取得方法
公務員の有給休暇は制度として整っていても、実際にどのように申請するのか、理由を伝える必要があるのかなど、細かいルールは気になるところです。ここでは、申請の流れや注意点をわかりやすく解説します。
申請手続きの流れ
有給休暇を取得するには、所属部署に「休暇願」を提出するのが基本です。
現在は紙ではなく、オンラインシステムや庁内イントラネットで申請する自治体も増えています。
一般的な流れは以下のとおりです。
- 上司へ口頭または事前相談
- 休暇願（紙またはオンライン）を提出
- 承認後、勤務表やシステムに反映
このように手続きは形式化されていますが、スムーズに承認されるかは職場の雰囲気にも左右されます。結果として、早めの相談が取りやすさにつながります。
理由の提出義務はある？拒否されることはある？
有給休暇を取得する際に、原則として理由を詳細に説明する義務はありません。
法律上も「私用」として申請すれば十分であり、上司が取得自体を拒否することはできません。
ただし、業務に大きな支障が出る場合は「日程の調整」を求められることがあります。例えば繁忙期や重要会議の日には、別日に変更をお願いされるケースです。したがって「拒否される」のではなく「時期を変更される」可能性があると理解しておくと安心です。
時間単位での有休取得（時間休）の可否
公務員は日単位だけでなく、時間単位で有休を取得できる場合があります。これは「時間休」と呼ばれ、子どもの送迎や通院など短時間の用事に便利です。実際に利用できるかどうかは、所属先の規定によって異なります。
| 取得単位 | 利用例 | 備考 |
|---|---|---|
| 1日単位 | 家族旅行・長期休暇 | 基本的な取得方法 |
| 半日単位 | 午前休・午後休 | 会議や行事に合わせやすい |
| 時間単位 | 通院・子どもの送迎 | 条例や規則で認められる場合のみ |
このように、勤務環境に合わせて柔軟に休暇を取れるのも公務員の特徴のひとつです。
有給休暇の活用方法・注意点
有給休暇は日常利用だけでなく、長期連休や特別休暇と組み合わせることで効果を最大化できます。
一方で、取り方次第では職場の調整負担が増えることも。
ここでは具体的な活用術と注意点を整理します。
長期休暇（GW・夏季・年末年始）との組み合わせ
有給を活用する代表的な方法が、カレンダー上の連休と組み合わせる取り方です。
「長期休暇との組み合わせ」
- GW＋有給 → 10日前後の大型連休に
- 夏季休暇＋有給 → 旅行や帰省の日程を拡張
- 年末年始＋有給 → 最大10日前後の休暇確保
夏季休暇や年末年始も同様で、公務員は一定の休日が保障されているため、有給を足すことでさらに長期休暇を実現できます。
旅行や帰省の計画を立てる際には、これが非常に有効です。
結果として、心身のリフレッシュ効果も高まります。
特別休暇との併用（結婚・忌引・出産・看護など）
結婚休暇や忌引休暇などの特別休暇に有給を組み合わせることで、より余裕のある日程が確保できます。
例えば結婚式の準備や新婚旅行の際、特別休暇だけでは不足する場合に有給を追加すれば計画的に休暇を取れます。
また、子どもの看護休暇や出産関連の休暇と合わせれば、家庭の事情にも柔軟に対応可能です。
こうした併用は職場でも理解が得やすいため、安心して申請できるのが特徴です。
病気休暇や育児休暇との違い
病気休暇や育児休暇は、それぞれ特定の事情に対応する制度であり、有給休暇とは性質が異なります。
病気休暇は診断書などを要する場合が多く、長期療養を前提としています。
一方で有給休暇は理由を問わず取得できる点が大きな違いです。
育児休暇も同様に、子どもの養育に特化した制度です。
これらを理解することで「どの休暇を使うのが適切か」を判断でき、結果的にムダなく休暇制度を活用できます。
時間単位有給の有効な使い方
時間単位の有給は、短時間の用事に合わせて効率的に活用できます。
例えば午前だけ子どもの学校行事に参加し、午後から勤務するケースなどに便利です。
筆者半日休暇と異なり、1〜2時間単位で柔軟に調整できるのがいいですね。
ただし、全ての自治体で導入されているわけではないため、事前に職場の規定を確認する必要があります。
上手に使えば、フルの有給を消費せずに生活とのバランスを取りやすくなります。
職場で円滑に消化するコツ（上司・同僚との調整）
- 繁忙期を避け、早めに口頭相談
- チームカレンダーで可視化・共有
- 引き継ぎメモ・担当代替を明確化
有給を取りやすくするには、上司や同僚との調整が欠かせません。
業務の繁忙期を避け、前もって相談しておくことが重要です。
例えば、チームのカレンダーに予定を共有したり、引き継ぎを明確にしておくと周囲も安心できます。
また、自分だけでなく他のメンバーが休みやすい雰囲気をつくることも大切です。
結果的に、職場全体で休暇を取りやすい文化を育てることにつながります。
全消化を避けた方がよいとされる理由
有給をすべて使い切ることは可能ですが、現場では数日残す人が多いのが実情です。
その理由は大きく２つあります。
- 非常時に備える：急な体調不良・家族都合に対応しやすい
- 職場への配慮：突発業務に備え、数日を温存
このように、制度上は自由でも現実には「残しておくのが無難」と考える人が多いのです。
その他の休暇制度
公務員には有給休暇のほかにも、生活の節目や家庭の事情に合わせて取得できる「特別休暇」が充実しています。
これらは給与が減らされない場合が多く、ワークライフバランスを保つ大きな支えとなっています。
ここでは代表的な休暇制度を紹介します。
夏季休暇、年末年始休暇
年末年始（12/29〜1/3）は法律で休日。
多くの自治体で夏季休暇（目安5日）も付与されます。
これらは有給休暇とは別枠で取得できるため、まとまった休暇を取りやすいのが特徴です。
例えば夏は有給を足して長期旅行に行くケースも多く、年末年始は家族と過ごす時間を確保しやすくなっています。
結果として、季節ごとのリフレッシュに最適な制度といえます。
病気休暇、忌引休暇、結婚休暇など
病気休暇は長期療養が必要な場合に利用でき、診断書の提出が求められるケースが一般的です。
忌引休暇は親族の不幸時に付与され、日数は関係性によって変わります。
また結婚休暇は本人や子どもの結婚時に与えられる制度で、新婚旅行と合わせて活用されることもあります。
これらは生活上の重要な場面を支えるために設けられており、有給を消費せずに利用できるのが大きなメリットです。
育児休暇・介護休暇・ボランティア休暇
近年注目されているのが、家庭や社会活動に対応する休暇です。
育児休暇や介護休暇は長期間の取得も可能で、給与や手当の保障が一定程度あります。
さらに、社会貢献を目的としたボランティア休暇を導入している自治体も増加中です。
例えば災害時のボランティア活動などに利用できます。
こうした制度が整っていることで、家庭と仕事、地域活動の両立がしやすい環境が生まれています。
警察官・消防官・自衛官など特殊勤務者の休暇制度
交替制勤務が多い警察官や消防官、自衛官は、一般的な土日休みの公務員とは休暇制度が異なります。
シフト制で勤務するため休日は不規則になりやすいですが、その分「代休」や「特別休暇」が設けられています。
例えば大規模災害対応などで休日に勤務した場合、後日に休暇を取得することが可能です。
このように、特殊勤務者には業務の性質に合わせた独自の休暇制度が整備されています。
公務員の福利厚生と有給休暇
公務員は有給休暇だけでなく、さまざまな福利厚生制度によって生活全般が支えられています。
手厚い休暇制度や共済制度とあわせて利用することで、安定した働き方が可能になります。
ここでは有給との関係性や具体的な制度を紹介します。
公務員の手厚い福利厚生制度との関係
- 共済組合（医療・年金等）で生活を下支え
- 住宅・扶養・通勤などの各種手当
- 目的別の特別休暇と相互補完
公務員は給与だけでなく、休暇制度・共済組合・各種手当といった福利厚生が充実しています。
これらは有給休暇と相互に補完し合う仕組みで、生活の安定や働きやすさを後押しします。
結果的に、福利厚生の手厚さが有給休暇をより使いやすくしているといえます。
年次休暇以外の休暇制度（病気休暇・育児休暇・特別休暇）
有給休暇は自由に取得できる一方、病気休暇や育児休暇、結婚・忌引といった特別休暇は「目的が限定された休暇」として設けられています。
これらを上手に組み合わせることで、有給を節約しつつ必要な場面で休むことが可能です。
例えば、出産や子どもの看護には特別休暇を優先し、旅行やリフレッシュには有給を使うといった活用法が効果的です。
筆者制度を理解しておけば、休暇をより計画的に活用できます。
ワークライフバランスの推進（週休3日制の導入事例）
一部の自治体では、週休3日制の試行導入が始まっています。
これは働き方改革の一環で、業務効率化や人材確保を目的とした取り組みです。
例えば宇都宮市や佐賀県などがモデルケースとなり、育児や介護と仕事を両立しやすい環境づくりを進めています。
こうした流れは、有給休暇の取得を促す動きとも連動しており、結果的に公務員全体のワークライフバランス向上につながっています。
Q&A｜公務員の有給休暇に関するよくある疑問
公務員の有給休暇については、制度上は明確に決まっているものの、実際の運用や細かいルールについて疑問を持つ人も多いでしょう。
ここでは特に質問の多い内容をまとめ、現場の実態を交えながら解説します。
まとめ
筆者 7割以上チェックできたら、この記事の内容はしっかり理解できています。
あとは実際にあなた自身の職場で、計画的に有給を活用してみてください。
公務員の有給休暇は、年間20日を基準に付与され、繰り越しや特別休暇との併用も可能な手厚い制度です。
国家公務員は平均8割、地方公務員も7割前後と高い取得率を誇り、民間より休みやすい環境といえます。
ただし実際には職場の雰囲気や繁忙期の影響で「残す工夫」も必要です。
大切なのは制度を理解し、計画的に活用すること。
あなたも安心して休暇を取り、自分らしい働き方を実現してください。
